犬の里親日記(16)

お姉チャン、テーヘンダ (大変だ)!

2012.11.7


朝食後、庭をうろついていたサクラが、「お姉チャン、テーヘンダ (大変だ)!」

(サクラの、ちょこまかしてひょうきんな動きが、銭形平次の子分の岡っ引きのハチを思わせるのです)

と言わんばかりに、家の中に飛び込んできました!

間髪をいれずに、今までソファーで寝そべっていた(ちょっと怠け者の)ソラが飛び起きて、二匹一緒に物置に向かって一直線!

物置の中に向かって、ソラが吠えたてます。

「ソラ!大きな声を出したら、ダメ…」と、いつものように妻が叱りますが、

その声を何か食べ物がもらえる合図と思って、すぐに戻ってくるソラが、

珍しくいつまでも物置の中を覗き、えらく興奮した様子!

建付けの悪い引き戸を鼻先でこじ開けて、中に入ろうとします。

同じようにサクラも、引き戸の隙間から中を覗いたり、物置の下へ潜り込もうとしたり…。


二匹の様子から推して、侵入者はどうやら二つある段ボールのいずれかに潜んでいるようです。

「臆病者のソラが、敵対心をむき出しにしてるんだから、相手は大きくても、せいぜい猫!」とは思いましたが、

とりあえず二匹を繋いで中の様子を窺ったものの、飛び出してくる気配は、一向にありません…。

「多分ネズミかヤマネ…。今朝の気温が0℃近くまで下がっているので、蛇の心配はまずないだろう」と見当を付けたものの、

何かの間違いで、段ボールの中でとぐろを巻いているかもしれません。


しかし、放っておいても埒が明きませんので、勇気を出して段ボールの中を覗いたところ、小さな侵入者(ネズミかヤマネかは不明)の姿が見えました。

ここに引っ越すまでは、それこそネズミ一匹でも大騒ぎしていた私でしたが、

最近は落ち葉の掃き溜めで、度々姿を見かけるようになって、自然の中に棲む、愛らしい小動物と思うようになりました。

段ボールの中にいた小さな侵入者(少なくとも)4匹は、妻がそっと、落ち葉がふかふかした場所に帰してあげました。

ここだと、最近落ちたばかりのドングリや栗の実も沢山あって、食べ物にも困らないでしょうし…。


ところで、一致団結して小さな侵入者を追い払った二匹ですが、

その後珍しく、ソラが寝そべっているソファーのすぐそばにサクラが坐っていました。

共通の危機意識(?)が、「二匹の絆を一層深めたのでは」と喜ぶのは、飼い主の単なる自己満足かもしれませんが…。

何となく、仲の良い姉妹になりつつあるように思います。