放 浪 記 (120)

本 の 衝 動 買 い

2013.3.24


初夏を思わせるような陽気だった先日、久しぶりに佐久市にある書店に立ち寄った際に、

長らく記憶の彼方に置き去りにされた書名を新書棚で発見!

思わず衝動買いしました。


田舎住まいを初めて11年が経過しましたが、最近は書店に立ち寄ることが、本当に少なくなってしまいました。

理由は、大部分の書店では新聞やネット上に書かれている新刊書や、レンタルのDVD&BDが幅を利かせるようになって、

文庫や新書の置かれているスペースが年々削られていき、

本を選ぶ楽しみが、なくなってしまったからです。


書店の棚に整然と並べられた多くの本を見ているうちに、

突如知的好奇心に駆られて、パラパラとページを繰っているうちに、つい衝動買いしてしまうという、

そんなことはここ数年、殆ど経験していませんでした…。


限られた消費者数や店舗スペースを考えると、確実に売れるものから順に在庫するのが商売の鉄則であることは理解しているつもりですが、

本好きを自負する妻や私にとっては、寂しい限りの現状!

年金に頼って生活している私達が、本との出遭いを求めて、往復1万円の新幹線料金を払って大都会の在庫豊富な書店に出向くことなどは、とても出来ませんし…。


勿論、衝動的に買ったものの途中で嫌になって放り出されたり、

低級な読者に読まれたために理解されないままに、

今も我家の本棚に眠ったままの高級な内容の書物も数多くあるのですが、

それでも若い頃には、ちょっと背伸びをしてみたいという欲求から必死になって読み耽り、

インスパイアされた本も少ないながら在りますし、

還暦を大幅に過ぎた今になっても、そんな衝動に駆られることが度々あるのです!


閑話休題。

そんな中で佐久市にあるO書店は、限られた消費者人口や店舗スペースを有効に生かして、書棚のラインナップを暫時変えながら要求を満たしてくれる、私の知る範囲では当地区唯一の書店!

その書店で、40年以上前の学生時代に読もうと思っていたのに、すっかり忘却の彼方に置き去りにされていた、和辻哲郎の「古寺巡礼」を発見!

都会の大きな書店では当たり前に見かけられる、I文庫から出版されているものですが…。


本当に読みたかったのか否かは別として、衝動買いすることによって、次なる愉しみができました。

O書店さま!今後ともよろしくお願いします…。