このホールは、ベートーヴェン、とりわけ彼の弦楽四重奏曲の真価を、より多くの人々に紹介したいとの熱い思いを抱かれる篤志家のご夫妻が、
ご自分の別荘地の一角に瀟洒なホールを設けられ、
年2回、固定した群響メンバーによるコンサートが開かれるようになってから、今回が4度目となります。
国際親善文化観光都市を標榜する割には、町自らがそれに相応しいインフラ整備に取り組む姿勢を見せず、
昔も今も、外部(=町外)からの資本参入を当てにしているだけのこの町では、
このような篤志家の熱意によって、辛うじて文化的な体裁が保たれているようなもの。
文化に触れようとすれば、新幹線で東京へ出掛けるほかないために、
どうしても回数を減らさざるを得ない年金生活者の私にとっては、
地元で明確なプロジェクトをもって開催されるこのようなコンサートは、まさに干天の慈雨なのです!
主催されるご夫妻は、「演奏曲目は、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲!」という以外には、演奏者側には、何の要求もされておられないそうです。
実は、今回演奏された第14番は、前回にも採り上げられたもの。
プロの演奏家である彼らが、敢えて同じ曲を連続して取り上げるということは、並々ならぬ決意があってのことだろうと思います。
そして、その執念が、アンサンブルの面でも音楽表現の面でも、見事に結実したことは、
素人愛好家である私にもはっきりと聴き取れた、素晴らしい演奏でした!
プロの演奏家がベートーヴェンの弦楽四重奏曲と取り組む姿や、その結果としての演奏の変化を定期的に聴ける得難い機会をご提供下さるご夫妻に感謝するとともに、
こんな素晴らしい催しの存在を、より多くの音楽愛好家に知っていただきたいと思います!