放 浪 記 (84)

『 き ず な 』 っ て

2012.1.12 


毎年12月に、(財)日本漢字能力検定協会が主催する、その年の世相を漢字一文字で表現する「今年の漢字」が、清水寺貫主の揮毫によって発表されていますが、

昨年は、皆様ご承知のように『絆』でしたよね。

東日本大震災は、私ども夫婦にとっても、家族や友人は言うに及ばず、全ての人々との絆について、改めて考えざせられた、ショッキングな出来事でした。

昨年ほど、新聞等でこの一文字を頻繁に目にした年は、私の60年余りの人生の中でも、なかったと思います。

にもかかわらず…


昨年暮れのある日、「なぁ、“きずな”という字、正確に書ける?」

妻が、例によって謎かけのような言葉を発して、挑発してきました。

私が正しく書けないことを、ほぼ確信しているようです。

自分の考えている漢字の、どこが間違っていそうかを考えてみましたが、ちょっと思いつきません。

「こうと違うんか?」と、糸偏(いとへん)に半と書いたところ、

「やっぱりなぁ……。ほんまは、私も今日初めて気付いたんやけど、旁(つくり)が違うやろ!」

ちょっとだけ、賢くなったと思っていたのですが…。


ところが、今日洗面所で、何気なく「絆創膏」と書かれた箱を見て、「これも絆(きずな)という字を使うのか!」と気付き、

念のために、国語辞典で、糸偏に半の字との使い方の違いを知っておこうと、調べてみると…。

そんな字など、世の中に存在しないこと、初めて知りました!


妻に、「“ばんそうこう”と、漢字で書ける?」と訊くと、

案の定、「糸偏に半と違うん?でなかったら、絆?」。

妻も私と同じように、糸偏に半と書く漢字の存在を、全く疑っていなかったようです。

こんなバカな会話しているのは、我家だけなんでしょうね、多分!