変わり映えのしないバラエティー番組に辟易してTVを観ることが殆どなくなり、
その分不足する情報を補うために、運転中も含めて車の中にいる間は(妻の買い物待ちが殆どですが)、ラジオを聴くことが習慣化されていました。
しかし、インターネットを使うようになってからは、いつでもそれなりの情報は収集できるようになり、
スーパーでの買い物の待ち時間は、カー・ステレオを使って、我家にある未聴のCDを聴く時間に充てることにしました。
これまでと異なった環境で聴く音楽は、いい気分転換になって、時にホームページ用のアイデアも浮かぶようにはなりましたが…。
シューラ・チェルカスキー(1909-1995)という名前は、10年ほど前に買った「20世紀の偉大なピアニスト」というCD200枚組のセットの中に4枚が組み込まれていたことで初めて知ったのですが、
10年間、一度も聴いたことがありませんでした。
この中から、ショパンの『12の練習曲op.25』全曲を取り出して聴いたのですが…。
近年のショパン演奏には珍しく、サロン風の音楽と聴こえました。
それも中途半端ではなく、超一級の気品と美しさを兼ね備えた…。
そこで、ピアノをお稽古事として習っていた妻に聴かせて感想を求めたところ、
「確かにサロン風やね!テンポを自由に動かし、左手と右手の表現が明晰で、かつ会話をしているような自在さ…、上手やわ!」。
珍しく意見が一致したことに気を良くした私は、チェルカスキーの演奏を至高のサロン風演奏と位置付けた上で、確たる自信を持ってエントリーしようと思いましたが、
念のためにこれまで秘かに決めていたポリーニ盤を改めて聴き直しました。
その結果、チェルカスキーのショパンのエントリーは、あえなく断念せざるを得ませんでした。
余りの美しいショパン演奏に心乱される思いでしたが、ショパンの曲には、演奏家のメッセージが顕著に伝わってくる演奏が、やはり相応しいように思えます。
でも、後ろ髪が惹かれるほど、本当にきれいな演奏でしたよ!