放 浪 記 (64)

熊 の 季 節 !

2010.8.10 


立秋を過ぎて、当地の朝夕は随分と過ごしやすくなりました。

昨日は日中の陽射しも殆どなかったので、室内の気温が上がることもなく、クーラーはもとより扇風機なしでも、ほぼ快適に過ごせました。

勿論、二匹の老犬が暑がらずに、気持よさそうに昼寝をしてくれているからこそ、飼い主も心穏やかに過ごせるわけなのですが…。

その平和な姿を見ながら、久しぶりにカーター・ディクソンの推理小説を読もうとソファーに横になったが最後、

猛暑の疲れが出たのでしょう、1ページを読み終えることなく、寝込んでしまいました。

一寝入りした後は、猛暑にも食欲だけは衰えることのない推定5歳の元放浪犬ジャーマン・ショートヘァ・ポインターを連れて下の畑を散歩していると、

「熊が出没し始めた」との情報が…。

今年は雨が多く、山の木の実が不足している可能性もあり、トウモロコシ畑を狙って、頻繁に出没するかもしれません。

ウォーキングや犬の散歩にも、熊除けの鈴を携行するようにしなければ…。

もっともこの熊除けの鈴、どのくらいの効果のあるものかは、分かりませんが。


昨晩はそんなことを考えていると、我家の恐らく周囲10m以内で、「ピュー、ピュー」という動物の鳴き声が…、日本鹿のようです!

室内で眠っていた老犬は、それに反応して目を覚まし、私の顔を見ています。

若い頃は気配を察するだけで、外来者を威嚇するために庭へ飛び出して行った彼女たちですが、

視覚が悪くなってからは不安の方が強いのでしょう、

安心できる部屋の中で静かに様子を窺う、或いは無関心を装うようになってきました。

彼女らは、そういった事情でやむを得ないとは思うのですが…。


ところで、そんな近くに日本鹿が来ているにも関わらず、

しかも外で寝ていて直近でその鳴声を聴いているにも関わらず、

若々しく元気溌剌として、視力の衰えを感じさせない我家のポインター嬢の鳴声が、一向に聴こえてきません。

お馴染みの顔ぶれで、外来者と感じないためか、

はたまた自分より強そうな動物には危険を感じ、居留守を決め込んでいるのか、

本人に訊いてみなければ分かりませんが…。

この一見すると猛々しい猟犬を思わせるポインター嬢を連れて散歩中に、万が一熊に出くわしたとすれば、

「飼い主を置いて一目散に逃げて行くだろうな」というのが、最近意見が噛み合わなくなった夫婦間での、唯一といってもよい認識が一致した見解でした。ヤレ、ヤレ…!