町内のスーパーでも、一見して別荘族と思しき上品そうな奥様方が、買い物カートを押すご主人を引き連れて店内を闊歩される姿が、急に目立ち始めました。
この時期になると、精肉コーナーではブランド名の付いた高級牛肉が、
鮮魚コーナーではパッキングされた大トロが、かなりのスペースを割いて並べられており、
レジではカート何台分もの買い物をし人達が、何万円もの代金を支払っておられるという構図…。
1回でせいぜい2000〜3000円ほどの買い物しかできない妻は、「レジしていただくのに、肩身の狭い思いがする」と申しております。
妻の買い物に付き合うのが邪魔くさいので、普段は車の中で本を読みながら待っている私ですが、
この時期になると、TVでしか見られない有名人のお姿を、ごく稀に拝謁できる光栄に浴することがありますので、
物見遊山がてら、妻のお伴をして店内に入ることがあります。
そこでは、明らかに日本の上流社会に属すると思われる多くの紳士・淑女が、ファミリーで楽しそうに買い物をしておられます…。
おつまみコーナーでは、一見して然るべき企業の然るべき地位に就かれていると思われる紳士。
「おい、これ美味そうだから買ってもいいか」
「また!どうせ食べもしないのに…」
奥さまの拒否にもかかわらず、未練がましげな表情のご主人に向かって、
「仕方ないから買ってもいいけど、その代り残さずに全部食べてね!」
生鮮野菜コーナーでは、棚に新たに野菜を追加している店員さんに対して、貴婦人然とした奥様、
「前から置いてあるのは、古い野菜なのでしょ。いくらかお安くなるのかしら?」
「いえ、値段は変わりません」
「あら、そうなの!だったら一番新しそうなのを頂こうかしら」
地元のおばちゃんでも、露骨にそんなこと言わないのにね…。
「あんた、金持ちが何で銭を仰山(=沢山)持ってるか、考えたことあるか」
「さあ…」
「ケチってケチって、なるべく出さんようにするから、その分貯まるという理屈や!」
昔、ある資産家から言われた、そんな言葉を思い出しました。