私が世の中にこんな日があることを知ったのは、多分中学三年生(1963〜4年)の時だったと記憶しています。
同級生に、教師の間から発展家と言われ、なにかと生活指導を受けていた数人の女性が、教室内であっけらかんと、
自分の好きな男性の固有名詞を挙げながら話しているのを小耳にはさんで、そんな習慣を初めて知りました。
それ以来、毎年2月14日が近づいてくると、
「○○さんのような美人なら応じても良いけど、そうでない人だと困ったことになるなぁ!」
そんな妄想を重ねながら秘かに心待ちしたり、謂れのない不安に駆られたりしたものでしたが、
結局28歳で結婚するまで、一度としてそんな慶事には恵まれませんでした。
前述しましたように、この頃のバレンタインデーは一部の先進的な女性のセレモニーであって、
多くの女性がそれに倣って行動するには、まだ抵抗があったものと思われます。
そんな言い訳を考えながら、毎年虚しくこの時期を過ごしたものでした。
妻以外の女性から初めてチョコレートをもらったのは、1980年代に入ってから。職場の女性4人の連名でした。
どう値踏みしても300円程度のものでしたので、「あえてお返しすることもなかろう」と思って放置していたのですが、
ホワイトデーが過ぎたある日、そのうちの一人から「△△さん、ダメですよ!」と言われてしまいました。
我がオフィスの女性社員たちは、したたかに男どもの値踏みをしていたようです。
所詮義理チョコではあるのですが、彼女の温かいアドヴァイスを受けて、翌年からは連名で頂戴した場合でも一人一人宛てにお返しするように心がけ、時に頂戴した価格の5倍を超えるような、負担の大きなものになってしまいました。
こんなつまらないことを、性懲りもなく未だに覚えてるのですから、もてなかったのも仕方なかったと反省はしています…。
今朝の朝食後、もしかしてと思いながら、食品戸棚や冷蔵庫の中をゴソゴソ探していると…。
「ごめん、チョコレート買うの忘れてたわ!」
ここ数年は、妻からもチョコレートをもらえなくなってしまいました…。