放 浪 記 (18)

大丈夫かいな?

2009.5(7) 


3年前、軽井沢で行われる国際オーボエコンクールのボランティア募集のチラシを目にしました。

参加資格の一つに、『外国語(英、仏、伊、独語等)の会話ができる方大歓迎 ※外国語が苦手でも大丈夫です』とありました。

海外渡航歴もなく、外国の方の姿を見ると、なるべく目を合わさないようにしていた私でしたが、家庭で毎日のように英語とドイツ語のライナーノートを見ながら音楽を聴いていましたので、音楽用語にはそこそこ自信がありましたので、「何事も体験」とばかりに、思い切って応募しました。

ところがコンクール当日に、参加者の方から英語で話しかけられた途端に、頭の中は真っ白に!

出番前で緊張しているだろうに、話が通じなくて、演奏に悪影響があったのではないかと、そんなショックが尾を引いて、期間中は会話らしい会話をすることができませんでした。

今年、3年ぶりにコンクールが開催されますので、無謀にも、もう一度挑戦してやろうと考え、着々と準備を始めました。

先ずは耳慣らしにと、最近はTOEICの練習問題のCDを車の中に持ち込み、妻が買い物をしている間、車内で聴くようにしています。

少しは英語にも慣れてきたためか、「あまり個々の単語に捉われずに、大意を掴めるようになってきたかな」と、密かに自信を持ち始めたところでした。

ところが昨日、妻が買い物をしている間、暑いので窓を半開にして、いつものように車内でCDを聴いていると、すぐ傍を通りかかった外国人女性の耳に音声が届いたのか、私の方を見ながら笑顔で何かを語りかけてこられました。

その瞬間、私は反射的にCDをトレイから取り出し、何ごともなかったかのように、彼女から視線をそらしてしまったのです。

すぐに連れの日本人男性が彼女をとりなしてくれ、彼女も何事もなかったかのように笑顔で彼と会話を始めましたので、バツの悪さを免れた私は、内心ホッとしたのですが…。

いったい何のために英語に慣れようとしているのやら…、こんな意気地のないことで、ほんまに大丈夫かいな?

還暦を過ぎて、物おじすることが少なくなった分、厚かましさばかりが増してくるように感じている私ですが、それらをチャレンジ精神に転嫁出来れば、どんなに素晴らしいだろうかと思うのですが…。