【放 浪 記 2】

日 常 と 非 日 常

2003.7 


 

新聞の連載漫画「ののちゃん」を見て、やっと気がつきました。学校もいよいよ夏休みなんですね。

そんな日々の感覚が麻痺したような生活を送っています。

今年の梅雨は長引いているのか、今日現在も曇天が続いていて、カラッとした晴れ間が殆ど見られない為に、もうすぐ夏本番、という感覚が有りません。

この天候が災いして、軽井沢の農地でも、キャベツやレタス等の葉物が、根腐れを起こし始めています。

 今日も朝から一日中曇っています。

それでも、金曜日ともなると、午後からは他府県ナンバーの車が急に増え、観光地軽井沢は夏休みヴァージョンに衣更え。

ご近所の別荘では、虫除けのネットを被ったご夫妻が、草抜きや庭木の手入れに精を出されています。

「湿気って今年は家の中がベタベタ。とても追いつかなくって」と『強力湿気とり』と書かれた容器を幾つも、ダンボール箱に捨てておられます。

晴れていれば、ベランダでの布団干しなのでしょうが、いつ降り出すかも分からないような天候ではそれも出来ず、「今夜は管理事務所の寝具を借りる」とのこと。

「来週、子供や孫達が来る迄には晴れてくれないと…」と困惑されています。

 軽井沢というと高原の爽やかな空気 ≠ェイメージされ、じめじめした湿気≠ニは縁がなさそうに思われがちです。

でも標高1000mの高原、晴れた日はからっとして本当に爽やかなんですが、天候が崩れてくると、雲の中に入った状態になるわけです。

昨年の梅雨時に、床のフローリングがジメッとするので、感触が良いようにと、い草の敷物を買ってきたのですが、敷いて一週間目に掃除の為に持ち上げてビックリ!

裏一面に青かびがビッシリと生えていました。

 そんな経緯もあって、今年は早々に除湿器を購入しました。

我が家も、昨年は同じように『強力湿気とり』を、押入やタンスに2〜3個ずつ入れていたのですが、除湿器を使うと、ごく短時間で3個分を遙かに上回る水が貯まり、部屋もさらっとしますし、布団乾燥機としても使えます。

この除湿器をご夫妻のお宅にお貸ししたところ、翌朝早々「めざましい効果に感激しました」との御礼の言葉もそこそこに、早速電器店に買いに行かれました。

「これで安心して孫を迎えられる」と嬉しそうです。

 その一方で、地元の農家の方は、「数年前、首都圏に住む息子夫婦に、畑を継ぐように話したら、それきり家に寄りつかなくなった。畑仕事も我々の代まで。それも時代の流れで仕方ない…」。

同じ軽井沢でも、代々に渡り永住されている方にはこんな悩みも有るようです。

重労働、野菜の卸単価の低さ、加えて天候に左右される収穫量。

結果として、低く不安定な収入。

そんな事情が、若い人達を農業から遠ざけるようです。

どの畑も、一部を除けば働いておられるのは殆どが年輩のご夫婦。

70歳を越える今日まで、高原野菜の栽培を続けてこられたご夫妻の、諦めきったようなお話が印象に残りました。

多くの人々が非日常的生活に憧れて軽井沢を訪れられる反面、軽井沢の日常的生活を避けて首都圏で生活される人々も少なからずいらっしゃる。

定住すると、そんな相反する現実を目の当たりにする事があります!