最近聴いたCD

W.A.モーツァルト:ピアノ協奏曲第25番 ハ長調

ルドルフ・ゼルキン(ピアノ)
クラウディオ・アバド指揮  ロンドン交響楽団


統一地方選挙後半、軽井沢町会議員選挙最終日の今日は、快晴です。

軽井沢町では16人の定員に対して、22人の立候補者(内、新人12人)があり、白熱した選挙戦が予想されましたが、

町はずれの我が地区は、ごく限られた数名の現職候補者が名前を連呼するくらいで、案外静かなもの…。

「新人さんたち、本気で立候補しているの?」と、首を捻ってしまいます。


そんなことを思っていると、突然、知的で味わい深いモーツァルトの曲・演奏が聴きたくなって、

R.ゼルキンのピアノとアバド/ロンドン交響楽団の演奏する、ピアノ協奏曲の第25番を思いつきました。

訥々と語りながら、決してぶれない、そんな印象が記憶に残っています。


【第1楽章:Allegro maestoso】

「確固として力強い冒頭主題は、作曲された当時のフォルテピアノの性能では、音量的に太刀打ちできなかったはず」

そんな話を聞いたことがありますが、それほどに野心的な作品だったのでしょう。

アバドの伴奏は、ゼルキンの解釈を尊重したものなのでしょう、

巨大な第1楽章をゆったりとしたテンポで、決して走ることなく、訥々と語るように紡ぎあげていきます。

転調部分には、モーツァルトの他作品でしばしば訪れる、「はっ!」とするような閃きを感じられないものの、

噛みしめるほどに味わい深さが増すような演奏が、この第25番の曲想には相応しく感じられます。

彼の作品中でも、屈指の堅固な構成を有する作品だということなのでしょう。

尚、カデンツァはR.カサドシュの手になるものを使っているそうですが、ゼルキンの語り口の素晴らしいこと!


【第2楽章:Andante】

先ず木管楽器を主に、長閑ながらも微かな憂愁を湛えた主題が提示され、それに続いてピアノが穏やかにモノローグを紡ぎ始めます。

田園的な情緒を湛えるオーケストラの伴奏に支えられて、ピアノが次第に幸福感を高めていく、素朴な美しさを湛えた楽章。


【第3楽章:Allegretto】

軽快な主題で始まり、ピアノとオーケストラが語り合いつつ展開されていく、ロンド風の幸福感に満ちた楽章。

木管のチャーミングな音色と、淡々と語り紡ぐようなピアノの自在な表現に、滲み出るような悦びが感じられる演奏。


好評価を受けているCDとは趣を異にするものですが、最近聴いたこの曲のCDの中では、最も共感できた素晴らしい演奏でした。

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