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エドワード・グリーグ:組曲「ホルベアの時代」  

オトマール・スイトナー指揮  ベルリン国立歌劇場管弦楽団


グリーグと同じノルウェーのベルゲン生まれで、同国を代表する作家ホルベアの生誕200周年を記念して1884年に作曲された、原曲はピアノ独奏用の作品。

曲名の「ホルベアの時代」とは、この作家が活躍した18世紀前半から中頃、即ちすなわちバロック文化隆盛期を指し、

当時の音楽様式に従って、プレリュードを含む5つの舞曲から構成されています。

今日聴いたのは、完成した翌年にグリーグ自身が編曲した弦楽合奏版を、スイトナー/シュターツカペレ・ベルリンの演奏で…。


【第1曲:プレリュード】

心地良いリズム感と、快速なテンポ感に心が浮き立つような、合奏力の素晴らしさ!

この直後に聴き比べたカラヤン/ベルリン・フィル盤が、鈍重に思えてしまったほど…。


【第2曲:サラバンド】

三部形式。まだ浅き北欧の自然の佇まいを感じさせる、厳かで穏やかな舞曲のような第1部。

中間部のチェロの独奏は、メランコリーの中にも密やかな喜びが感じられる、魅力的な演奏です。


【第3曲:ガヴォットとミュゼット】

静かな喜びに胸を弾ませるような、ガヴォット部。

爽やかな風が吹き抜けるように、春の息吹を感じさせるミュゼット部では、持続する低音が、バグ・パイプの音色を思わせます。


【第4曲:エアー】

三部形式。仄暗さの中に高雅な舞を感じさせる荘重な第1部の美しいこと!

中間部では、サラバンド同様に密やかな喜びが感じられます。

次第に熱っぽさを帯びた曲調へと高まっていく第3部は、深い余韻を湛えて終わります。

【第5曲:リゴドン】

第4曲とは対照的に、明るく活発な、しかしどこかノスタルジーを感じさせる舞曲。

中間部ではテンポを落として、メランコリーな雰囲気が漂います。

バロック様式に則って書かれたこの曲ですが、

整然とした佇まいの中に、颯爽としたリズム感と、北欧的の仄暗い抒情が感じられる、大変に魅力的なもの!

スイトナーの演奏は、この曲の素晴らしさを十二分に表出したものだと感じました。

ご一聴をお薦めしたい名盤です!

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