今日エントリーするロジェストヴェンスキーの演奏は、1947年に改訂されたものですが、
op.47→op.112と新たな作品番号が付けられていることからも、全く別な作品と位置付けられることもありますが、
一般的には、op.117が交響曲第4番とされているようです。
この作品は、直前に完成されたバレー音楽「放蕩息子」からの素材の転用がみられるとか。
当のバレーのストーリーは、「父親とけんかして家を飛び出した男が、美女に誘惑されて自堕落な生活を送った挙句にすべての所持金を失い、己の愚行を悔やみつつ家に戻ると、父親は寛大な心で帰宅を許してくれた」という、他愛のないもの…。
そのせいか、曲全体としては、楽天的な雰囲気が漂う作品です。
【第1楽章:Andante−Allegro eroico】
不安定な心情が、薄明りの中に頼りなげに浮かぶような序奏部…。
主部に入ると、狂気に駆られたように破壊的なエネルギーで突進する第1主題と、
慈愛に満ちながらも、やや官能的な第2主題が混然一体となって、素晴らしく充実した内容の音楽が展開されます。
【第2楽章:Andante tranquillo】
パストラールな雰囲気を湛えつつ、深い慈愛を感じさせながら開始されますが、
次第に高揚していくさまは、交響曲というよりも、バレー音楽のパ・ド・ドゥにおける、愛の高まりを観るような…!
【第3楽章:Moderate、quasi allegretto】
諧謔味に富んだ主部。
変奏曲のような中間部は、まるでパントマイムで演じる女の百態のように、いきいきとした表情で演奏されています。
【第4楽章:Allegro risoluto−Andantyino−Allegro con prima】
ピチカートで開始され、主題が複雑に絡みながら進行。
中間部では、祭りのパレードのようなマーチが登場し、自由奔放に盛り上がっていきますが、最後に第1楽章序奏部が力強く回帰し、曲は結ばれます。
幾つか聴いた演奏のうち、今日は交響曲としての高い風格を感じさせるロジェストヴェンスキーの演奏を採り上げましたが、
録音の良いキタエンコの演奏に、よりアヴァンギャルドな魅力を感じたことも、申し添えておきます。