最近聴いたCD

ブラームス:
弦楽五重奏曲第2番 ト長調 op.112

アマデウス四重奏団+C.アロノヴィツ


昨年2月の大雪で4〜5日間閉じ込められて懲りた(或は噂を聞いた)別荘族が、新年の積雪を見て早々に退却したせいか、

今年は正月明けから我が家の前の道路を通る車の台数が、めっきり少なくなりました。

雪道に残った車の轍の少なさからも、そんな事情が窺い知れます。

1月15日(木)に10〜15cm、17日(土)にうっすらと積もった雪で、我が家の周囲は一面の銀世界…。最低気温が-11.3℃の真冬日ですが、晴天で陽射しが強く、「春遠からじ」を思わせる一日でした。

今日聴いたのは、アマデウス四重奏団の演奏によるブラームスの弦楽四重奏曲第2番です。


【第1楽章:Allegro non troppo、ma con brio】

冒頭、心ときめくようなざわめきは、自然界の春の目覚めを思わせる壮大なスケールを感じます!

春を待ちわびる今の季節に、驚くほどぴったりする音楽です。

ブラームスの書いた曲の中でも、最高峰に位置づけられるものではないでしょうか。

密やかで清楚な第2主題は、心のざわめきのような弦のトレモロに乗って歌われる甘く切ない旋律は、青春真っ盛りの愛らしい女性たち?


【第2楽章:Adagio】

前楽章から一転して、孤独な寂寥感に満ちたこの楽章は、

春の夜の憂鬱とも言えそうな甘美な哀愁が迸り、それが心地よく感じられます。

希望が仄見えてくるような後半部の美しさには、気持ちが引き締まり、目頭が熱くなります…。


【第3楽章:Un poco allegretto】

ふと洩らす女性の溜息のような、心地良い揺れを感じさせる第1主題は、

苦しみや悲しみを慰撫してくれるような、不思議な安らぎを湛えたもの…。


【第4楽章:Vivace ma non troppo presto】

活発なロマ風の舞曲を思わせる終楽章は、春を迎える喜びに溢れたもの…。

歓喜は熱狂的に高まっていき、曲は終わります。


ブラームス最晩年の58歳の時に書かれたこの作品には、春の訪れを寿ぐ密やかな喜びが描かれている!

晴天下、光に満ち溢れた雪景色を見ながら聴くアマデウス四重奏団の演奏は、静謐な幸福感にあふれたものでした。

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