最近聴いたCD

ドビュッシー:喜びの島

フリードリッヒ・グルダ(ピアノ)


18世紀に入ると、美術史においても宗教や歴史上の物語を主題としたバロック時代が終焉を迎え、

ルイ15世に代表される華やかな宮廷生活を反映して、曲線を多用した繊細で優美なロココ様式の絵画が全盛を極めます。


1904年、ドビュッシー42歳の時に書かれた「喜びの島」は、

田園に集い、愛を語らう若い男女たちを描いたロココ風絵画の代表作、アントワーヌ=ヴァトーの「シテール島への船出」にインスパイアされて作曲されたとか。

尚、シテール島とは、ギリシャのペロポネソス半島南に位置する地中海に浮かぶ島で、

愛と美と性をつかさどるギリシャ神話の女神、アプロディーテー所縁の地でもあります。


今日エントリーするのは、フリードリヒ・グルダによる1957年の演奏!

きらきらと輝きながら、溢れんばかりに湧き出ずる泉を思わせる冒頭部。

煌めくような色彩感豊かな音が連なる中、

時に靄が湧き上がるように感情が高揚するように…

時に肌と肌の触れ合いを彷彿させるような官能的な心地良さが…

時にグラスの中で琥珀色に泡立ち、弾けるシャンペーンのような清涼感が…

時に異国情緒の中に官能を覚えるように…

五感に心地良い楽曲が、ラプソディックに展開されていく、

多彩な感覚を刺激するような、グルダの演奏です!

超お薦め!まだお聴きでない方は、是非ご一聴ください。

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