最近聴いたCD

W.A.モーツァルト:
ピアノ協奏曲第22番 変ホ長調 K.482  

ゲザ・アンダ(指揮・ピアノ) ザルツブルグ・モーツァルト・カメラータ・アカデミカ


ここ数日、台風8号の影響で鬱陶しい日々が続いていましたが、今朝は久しぶりに太陽が顔を出しました。

陽に照らされて、森の緑が鮮やかに浮き上がった、視覚的には爽やかで美しい朝です!

とはいえ、湿度は高く、ソファーの木組みの肘掛が、じっとりと腕にまといついて、不快指数は100パーセント。

少しでも快適さを感じるために、手元に扇風機の風を当てながら聴いたのが、ゲザ・アンダの弾き振りによるモーツァルトのピアノ協奏曲第22番でした…。


【第1楽章:Allegro】

オーケストラの奏でる冒頭部は、窓外に広がる緑の森にこぼれる陽射しのような、爽やかなもの…!

思いがけない至福の瞬間の訪れに、鬱陶しかった気分が爽快になり、瞬く間に曲に惹きこまれていきました。

アンダのピアノの音色は、陽の光に輝く渓流のように、澄み切って清らかなもの。

長調の作品ですが、密やかで雅なたたずまいの中にほのかな憂愁が忍び寄る、いかにもモーツァルトらしい素晴らしい演奏です。


【第2楽章:Andante】

オーケストラが仄かな憂愁を湛えた美しい旋律を奏で、

次いでピアノが可憐な表情で独り言を呟く、ハ短調の第2楽章。

途中、ひと時の慰めが訪れるように長調へと転調され、フルートとファゴットが掛け合う場面の、素朴で美しいこと!


【第3楽章:Allegro】

無邪気に、楽しく遊んだ幼い日々を懐かしく思い出させるような、ロンド風の快活な終楽章主部。

アンダの演奏を聴いていると、

「ピアノ協奏曲第27番K.595」や、弦楽三重奏の「ディヴェルティメントK.563」終楽章に聴ける、

最晩年の清澄な境地と共通した感慨を、ふと抱きました。

途中、アンダンテカンタービレへとテンポを落とし、

木管が、次いでピアノが歌う旋律は、遊び疲れた子供を眠りへと誘うような素朴な趣に、心惹かれます!


アンダの弾き振りによるモーツァルトピアノ協奏曲全集の中でも、最高の名演であると同時に、

今まで聴いたこの曲の演奏の中でも、とびぬけて秀逸な演奏だと感じた次第です。

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