ゴールデンウィークが始まった26日の土曜日から胃が重くなってしまって、2日間全く食欲がなかったのですが、
発症から4日目の昨日(昭和の日)になって漸く食べ物を受け付けるまでに回復し、やれやれ一安心と言ったところです…。
そんな今朝は、ポール・パレー指揮するデトロイト交響楽団の演奏で、普段滅多に聴かない、19世紀後半にフランスで活躍したラロやショーソン等の管弦楽作品に食指を伸ばしました。
このバレーの内容は、ギリシャのイオニア海に浮かぶコルフ島を舞台にした、美貌の女奴隷「ナムーナ」をめぐる男の争いを描いた惨劇(?)…。
全23曲のバレー音楽から、作曲者自身が抜粋して、3つの管弦楽組曲に編曲されましたが、このうちの第1組曲は、最もしばしば演奏されているようです。
パレーの演奏で聴くこの曲には、見知らぬ地への憧れを思わせる異国情緒や、
(女性をめぐる諍いらしいですが)男のロマンが伝わってくる、なかなかの名演奏だと思います。
【第1曲:前奏曲】
冒頭、ピチカートでゆったりとした旋律が、未だ見ぬ地への憧れを感じさせ、
金管楽器が加わり、次第に夢とロマンを抱いて大海原へと乗り出す若者を思わせる勇壮さが滲み出てくる、なかなかの名曲です!
【第2曲:セレナード】
ピチカートとトライアングルのかけ合い、木管楽器のかけ合いなど、男どもを翻弄する小悪魔的な女性を描いているのでしょうか…。
【第3曲:主題と変奏】
暗雲立ち込める如きの重苦しい低弦の響きで提示された主題は、
次第に晴れ間が顔を覗かせるように晴朗な表情へと移りゆき、
お伽の国を思わせるファンタジックな表情を湛え、
終には、堂々とした音楽で締めくくられます!
【第4曲:市場の行列】
トランペットと小太鼓が、活気に満ちた場末の様子を活写しますが、どことなく漂う哀愁が魅力的な前半部。
曲が静まると、フルートがオリエンタルなムードの舞曲を奏で、テンポを上げつつ華やかに終わります。
【第5曲:異国の祭り】
民衆のエネルギーが渦巻く祭りの様子が活写された、圧倒的な音楽。
高排気量の大型車を十二分の余裕をもって運転するような、指揮者パレーの面目躍如たる演奏です。
1950年代後半から60年代前半にかけて、マーキュリー社によって制作されたHigh-Fidelity録音と評されるドラティ/デトロイト響の演奏ですが、
私の装置で聴くと、低音部の奥行きが深いために耳触りは心地好いものの、チェロやコントラバスといった低弦楽器の質感が損なわれてしまっているように感じられました…。
それでも、この大らかな録音と演奏のお陰で、鬱陶しかった気分もだいぶ回復してきたように思えます…。ヤレヤレ!