最近聴いたCD

C.サン=サーンス:ピアノ協奏曲第4番 ハ短調 

J.P.コラール(ピアノ)
アンドレ・プレヴィン指揮  ロイヤル・フィルハーモニック管弦楽団


歌劇「サムソンとデリラ」や、交響詩「死の舞踏」などの傑作を生み出したのとほぼ同時期の、40歳時に書かれたこの作品は、

10年後に書かれた彼の代表作、交響曲第3番「オルガン」と同じく、2つの楽章から構成されています。

彼のピアノ協奏曲中最も成功したものとされていますが、

サン=サーンス特有の冗長さが殆ど感じられない点において、

彼の全作品中でも、最も均整のとれた美しい作品の一つと感じられます。

今日聴いたジャン・フィリップ・コラールのピアノと、プレヴィン指揮するロイヤル・フィルの演奏は、ピアノ&オケ共に繊細なニュアンスが秀逸なもの!

特に両楽章のAndante部では、絵画的な想像を膨らませながら、その繊細な美しさに聴き惚れてしまいました。


【第1楽章:Allegro moderate−Andante】

先ず、オーケストラが不可思議さを覚えるような旋律を提示し、直ぐにそれに呼応する独奏ピアノ…。

ちょっとしたアイロニーを感じさせる冒頭部は、変奏曲風に展開されていきます…。

次第に解決に向かうように暗雲が晴れ始め、清々しく爽やかな空気に満たされていくAndante部…。

後年の交響曲第3番と大変に類似した楽想であり、

澄み切った秋の空を思わせるような、美しくも憂愁に富んだ音楽です!


【第2楽章:Allegro vivace−Andante−Allegro】

変則的で愉しげな、おどけたようなリズムで開始される、ピアノとオーケストラの活気に満ちたやりとりが魅力的なAllegro vivace部。

Allegroへの橋渡しをするAndante部は、サン=サーンスならではの澄み切った哀愁漂う音楽が…。

Allegro部は、生真面目な感動が漲った、勝利の凱旋とも思える活気に満ちた音楽!


コラールの繊細な表現力と多様な色彩感が楽しめた、見事な演奏だと思いました!

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