10年後に書かれた彼の代表作、交響曲第3番「オルガン」と同じく、2つの楽章から構成されています。
彼のピアノ協奏曲中最も成功したものとされていますが、
サン=サーンス特有の冗長さが殆ど感じられない点において、
彼の全作品中でも、最も均整のとれた美しい作品の一つと感じられます。
今日聴いたジャン・フィリップ・コラールのピアノと、プレヴィン指揮するロイヤル・フィルの演奏は、ピアノ&オケ共に繊細なニュアンスが秀逸なもの!
特に両楽章のAndante部では、絵画的な想像を膨らませながら、その繊細な美しさに聴き惚れてしまいました。
【第1楽章:Allegro moderate−Andante】
先ず、オーケストラが不可思議さを覚えるような旋律を提示し、直ぐにそれに呼応する独奏ピアノ…。
ちょっとしたアイロニーを感じさせる冒頭部は、変奏曲風に展開されていきます…。
次第に解決に向かうように暗雲が晴れ始め、清々しく爽やかな空気に満たされていくAndante部…。
後年の交響曲第3番と大変に類似した楽想であり、
澄み切った秋の空を思わせるような、美しくも憂愁に富んだ音楽です!
【第2楽章:Allegro vivace−Andante−Allegro】
変則的で愉しげな、おどけたようなリズムで開始される、ピアノとオーケストラの活気に満ちたやりとりが魅力的なAllegro vivace部。
Allegroへの橋渡しをするAndante部は、サン=サーンスならではの澄み切った哀愁漂う音楽が…。
Allegro部は、生真面目な感動が漲った、勝利の凱旋とも思える活気に満ちた音楽!
コラールの繊細な表現力と多様な色彩感が楽しめた、見事な演奏だと思いました!