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B.バルトーク:弦楽四重奏曲第4番  

アルバン・ベルク四重奏団


バルトーク47歳の、1928年7〜9月にかけて作曲されたもの。

先鋭的な不協和音が随所に配置され、且つ斬新な技巧を駆使した多彩な表現がみられる作品です。

にも拘らず意外に親しみ易く、次々と様々なインスピレーションが惹起されるのは、

全5楽章からなる三部形式の第3楽章中間部を中核として、

同楽章の1、3部、それに第1と第5楽章、第2と4楽章間にシンメトリックな構造を有するように工夫された、その統一感によるものかと感じています…。

荒々しいまでの強烈な推進力を持つ作品であることは事実ですが、

今回は神秘的な雰囲気の中に、静かに燃える情熱に表現の重点が置かれたと感じられる、アルバン・ベルク四重奏団の演奏をエントリーします。


【第1楽章:Allegro】

幽霊でも出てきそうなシャーマン的な雰囲気と、民謡風の激しい舞曲。

マジャールの地に伝わる伝統的な風俗を髣髴させる、印象的な音楽です!


【第2楽章:Prestessimo con sordino】

地獄に吹く風を思わせる心をぞっとさせるような主部は、ミュートを付けたことによる効果なのでしょうか…。

カノン風に書かれた中間部が、切迫感を際立たせます。


【第3楽章:Non troppo lento】

瞑想的な雰囲気に包まれた、高貴で美しい楽章!

チェロからヴィオラへと引き継がれる、魂の慟哭を思わせる旋律の響きは、歴史に秘められた深い悲しみを髣髴!

バルトークの音楽のみから得られる、感動の瞬間です…。


【第4楽章:Allegretto pizzicato】

ピチカートで奏される軽やかな響きは、不思議な諧謔味を帯びたもの。

ハンガリーの民族楽器ツィンバロンの音色も聞こえてくるような、懐かしさが…。


【第5楽章:Allegro molto】

激しく荒々しい民族舞曲を思わせる主部。

曲が鎮まり、シャーマン的な雰囲気を醸す中、強い民族色を帯びたチェロの祈りが響きます…。


深化され、且つ浄化された魂の響きが聞こえてくるような、素晴らしい演奏だと思いました!

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