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W.A.モーツァルト:
ピアノ協奏曲第14番 変ホ長調 K.449 

M.J.ピリシュ(ピアノ)
クラウディオ・アバド指揮  ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団


1784年、ウィーンに滞在して3年目を迎えたモーツァルトの人気は高まる一方で、

演奏会活動も頻繁に行われるようになってきました。

そのための作品が次々と書き上げられ、収拾がつかなくなったために、

自作品を整理するために作品目録を作成し始めましたが、その最初の作品がピアノ協奏曲第14番!

この年、ピアノ協奏曲は第14〜19番までの6曲が書き上げられましたが、

今日エントリーする第14番は、ピアノの教え子である貴族の娘ブロイヤー嬢のために作曲されたもので、いわば素人演奏家のための作品。

オーケストラも管楽器の使用は任意で、小規模なものとなっています。

今回はピリシュのピアノと、アバド/ウィーン・フィル(1992年盤)で聴きましたが、

それなりの内容は有するものの、「地味で小規模」という印象を抱いていたこの曲でしたが、

それが見事に払拭された、輝かしく素晴らしい演奏でした。


【第1楽章:Allegro vivace】

冒頭、管弦楽だけの比較的長い提示部が奏されますが、

ウィーン・フィルの演奏は、情熱の迸りの中にこれからの展開を期待させるワクワク感を覚え、まるでオペラの序曲を聴くような趣!

全てのフレーズが快活且つ優雅さを漂わせて息づくピリシュのピアノの、素晴らしいこと!

オケとかけ合いながら、めくるめく曲は展開されていくさまは、

とても素人演奏家のための作品とは思えない、素晴らしい演奏です!


【第2楽章:Andantino】

高貴で且つ慎ましやかな、美しいオケの表情。

凛として、気高い表現を保ったピリシュのピアノ。

神々しさを湛えた、極上の美の世界が展開されていきます!


【第3楽章:Allegro ma non troppo】

親しげで軽やかに展開していくオーケストラと、

同じテーマを次々に変奏していくピアノとの語らいは、

時に深刻な表情を覗かせつつ展開していきますが、

最後は、明るく快活に終了します。

この曲の新たな魅力を発見させてくれた、見事な演奏でした!

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