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F.シューベルト:交響曲第5番 変ロ長調 

H.ブロムシュテット指揮  シュターツカペレ・ドレスデン


1816年、シューベルト19歳の時の作品で、若き日のシューベルトらしい仄かで爽やかな情緒の中に、先人のハイドンやモーツァルトの影響を感じさせる楽想が登場する、興味深い作品。

LP時代にはワルター/コロンビア響の演奏で親しんだものでしたが、今日はブロムシュテット/SKDによる演奏を採り上げます。


【第1楽章:Allegro】

勿体ぶったところもなく、何気なく主題が登場する冒頭部。

ブロムシュテットのさりげない表現からは、

穏やかに流れる時間と、

それに流されながら移ろいゆく多感な青年の瑞々しい心情の変化が、たくまずして伝わってきます。


【第2楽章:Andante con moto】

夕べの憩いの時を思わせる、穏やかな幸福感に包まれた主部。

中間部では、やや憂鬱な雰囲気が忍び寄りますが、

回帰する主題には、深い情感が込められ、

心地好い宗教的な雰囲気を漂わせつつ、静かに曲は終わります!


【第3楽章:Menuetto;Allegro molto】

モーツァルトの交響曲第40番の第3楽章を思わせる、悲しみが迸るようなメヌエット!

テンポを落とした中間部では、揺蕩ような美しい憂鬱が…。

この中間部の演奏には、うっとりとしてしまいました!


【第4楽章:Allegro vivace】

ハイドンの交響曲の終楽章を思わせるように、第1主題の軽快な気分が転調によってめくるめく変化していく、愉しい楽章!

憧れを歌うような第2主題をはさんで、快活に終わります。


ブロムシュテットの演奏は、「何も加えず楽譜のままに自然に歌わせている」といった趣のもの。

SKDの音色とが絶妙のマッチングした、素晴らしい演奏でした!

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