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O.レスピーギ:交響詩「ローマの祭り」 

R.ムーティ指揮  フィラデルフィア管弦楽団


イタリア音楽復古に大きな足跡を残したレスピーギは、ローマの歴史と伝統の熱烈な賛美者でもありましたが、

古都の栄光をテーマに作曲した交響詩「ローマ三部作」は、彼の代表作!

今日エントリーする「ローマの祭り」は、古都ローマに伝えられている歴史上有名な4つの祭りを描いた、三部作最後の作品です。

この曲の初演者トスカニーニがNBC交響楽団を振った演奏は、全曲を通して凄絶で、生命力の漲った素晴らしいもの!

モノラル録音ですが、未聴の方には「是非に!」とお薦めした上で、

今回は録音の良い、ムーティ/フィラデルフィア管の演奏を採り上げます。


【第1曲:チェルチェンテス】

古代ローマの皇帝ネロが、捉えられたキリスト教徒を、コロシウムで衆人監視の下猛獣に食い殺させたという残忍な祭り。

荒々しく、暴力的な喧騒で開始され、おどろおどろしく凄惨な音楽が展開される主部。

それに対して、中間部の痛ましいまでの悲しみを伴なった音楽は、救いを求めるキリスト教徒の神への祈りでしょうか。


【第2曲:50年祭】

ロマネスク時代に50年ごとに行われた、キリスト教の大赦の祭り。

遥かな古、ローマへと向かう巡礼たちの行進を思わせる讃美歌のような木管の響きは、厳かさの中にも懐かしい異国情緒が感じられるもの。

雑踏する街角に、夕べを告げる教会の鐘の音やホルンの響き…。

心地好いポリフォニーが魅力の音楽です!


【第3曲:10月祭】

ルネッサンス時代に行われた、ブドウの収穫を祝う祭り。

前曲のホルンが響く中、収を祝う活気に溢れた音楽が開始されますが、

次第に夜の帳が下りはじめ、スペイン情緒に溢れる哀愁にみちた旋律が…。

マンドリンの響きは、異性への愛の告白…。

そして恍惚とした甘美さに溢れるヴァイオリンのソロは、成就した愛の証でしょうか。


【第4曲:主顕祭】

救世主の降誕を祝う祭り。

狂おしい木管楽器のリズムで始まり、手回しオルガンの響き、酔っ払いの嬌声、踊り狂う人たち等々…。

雑然とした中にも、主の降誕を祝う民衆の喜びが力強く表現された、素晴らしいムーティの演奏でした!

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