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C.ニールセン:交響曲第3番「広がり」 

H.ブロムシュテット指揮  サンフランシスコ交響楽団


1910〜11年にかけて作曲されたこの交響曲は、第1楽章の発想記号Allegro espansivoに由来して、「広がりの交響曲」と呼ばれているそうです。

6曲あるニールセンの交響曲の中で、最も絵画的なインスピレーションが喚起されるのは、

祖国デンマークの壮大な自然や民族的な旋律が素材とされているからなのでしょうか。

同じ北欧のグリーグやシベリウスとはまた異なる情緒を有しており、大らかで親しみ易い作品と感じられます!


エントリーするのは、スウェーデン人のブロムシュテット指揮するサンフランシスコ交響楽団の演奏。

【第1楽章:Allegro espansivo】

勇壮で民族的なパッションが迸る第1主題と、

対照的に、木管楽器による夜のしじまの情景を思わせる、幻想的かつ牧歌的な雰囲気が漂う第2主題。

展開部では、これらの主題がワルツ風に奏でられ、絢爛豪華な世界が繰り広げられていきます。

お伽噺のようなファンタジーが感じられる、魅力的な音楽です!


【第2楽章:Andante pastorale】

広々としたオープンエアを髣髴させるホルンの響きや、

遠雷を思わせるティンパニのトレモロが響く中、木管楽器が奏でる瑞々しい情緒を湛えた旋律に、

バリトンとソプラノ独唱によるヴォカリーズが加わって、

グリーグやシベリウスの作品とは異なった北欧的な抒情が感じられる、大変に印象的な楽章!

ブロムシュテットの見事な解釈に起因するものと、感じています。


【第3楽章:Allegretto un poco】

舞曲を思わせる民謡風の主題で開始される、

穏やかな田園風景と素朴な人々の生活が髣髴される、平和な雰囲気に満ちた音楽!


【第4楽章:Allegro】

深い思いを込めて朗々と歌い上げられる第1主題は、祖国ノルウェーへの讃歌でしょうか!

木管楽器が奏でる民族的情緒が、カノン風の展開によって一層盛り上がり、

喜びに満ちた、輝かしいフィナーレを迎えます!


ニールセンの「田園交響曲」と呼ばれるこの作品ですが、瑞々しい情緒を湛え且つ壮大に描き上げたブロムシュテットの名演!

ニールセンに親しみを持てない方にも、ご一聴お薦めします。

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