ボヘミア的な伸びやかな抒情が横溢したもので、メロディーメーカーとしての天賦の才が惜しげもなくつぎ込まれたいかにも彼らしい作品ですが、
初演されたのは、意外にも50年以上が経過した1930年…。
ワーグナーをはじめとする先人たちの影響から脱し、ドヴォルザークの転換期となった作品と評価されるようになったのは、つい最近の事のようです。
【第1楽章:Moderate−Allegro con brio】
憂愁と憧憬を湛えた大変に美しい旋律で開始される第1楽章。
私はブラームスの交響曲第3番の第3楽章の影響と思ったのですが、
この交響曲は1883年に書かれたもの。
ということは、逆にドヴォルザークのこの旋律が、恩師ブラームスに影響を与えたのかと、ふと思えるような、印象的な旋律!
刻々と移りゆくボヘミアの自然の変化が、見事に表出されています。
【第2楽章:Andante con moto quasi allegretto】
ピチカートにのって淡々と語られる、黄昏時を思わせるノスタルジーに富んだ旋律は、
後にヴァイオリン独奏曲「ロマンス」に改作されたもの!
穏やかな抒情と、次第に高まる望郷の念が、最後は静かに漂うように終わります!
【第3楽章:Tempo di valse】
切々と悲しみを訴えるようなヴァイオリンと、もごもごと呟くようなチェロの響きが印象的な主部。
パストラールな情緒が漂う、素朴な音楽!
【第4楽章:Allegro molto】
ヴァイオリンの奏でる哀愁にみちた旋律と、
覇気に満ちたなスラブ風の舞曲が展開されていき、力強く終了します!
エントリーするのは、端正な爽やかさと滋味深い味わいを有した、シュターミッツ四重奏団の演奏。
ドヴォルザークの素朴で美しいメロディーが味わえる、一度はお聴き頂きたい演奏です。