一聴しての印象は、快活で爽やか!
しかしながら、音楽的に傾聴に値するような深みもなさそうで、物足りなさを感じたもの。
既に「弦楽八重奏曲」「真夏の夜の夢(序曲のみ)」「フィンガロの洞窟」といった名作を世に出した作曲家の有名作品と比べれば、「凡作かなぁ!」とも思ってしまいますが、
なぜか捨て難い魅力が感じられます…。
最低気温が-14℃と極寒の軽井沢は、今シーズン一番の冷え込みになりましたが、
快晴で陽射しがまぶしく、「春遠からじ…」を思わせる今日、
カツァリスのピアノとマズア/ゲヴァントハウス管の演奏で、あらためて聴き直してみました。
【第1楽章:Molto allegro con fuoco】
オケだけで開始される冒頭部は、運命に翻弄されながらも、耐え忍ぶ姿を髣髴させるもの…。
しかしピアノの登場と共に、次第に颯爽として華やかな気分が、曲を支配!
親しみ易い旋律が、カツァリスの華々しい技巧によってロマンチックに展開されていく、何とも魅力的な楽章です。
【第2楽章:Andante】
ファンファーレに導かれて、前楽章から休みなく奏される第2楽章は、
愛らしく清楚で、ピアノとオケが仲睦まじく語り合うような趣…。
屈指のヴィルトオーゾ・ピアニストがこのようなごくシンプルな旋律を弾くと、
幼い子供がピアノのお稽古をしているような趣を醸し、
そんな素朴さに、何とも言えない味わいが感じられます。
【第3楽章:Presto-Molto allegro vivace】
ホルンのファンファーレに導かれて、前楽章から休みなく奏される第3楽章は、
快活で愛らしい第1主題と、
華やかに煌めき、心湧きたつような第2主題が絡み合い、
カツァリスの鮮やかなテクニックによって、健康的な明るさに満ち満ちた音楽が展開されていきます。
上質なサロンの愉悦感溢れる雰囲気に包まれる…、
そんな喜びが伝わってくるような、カツァリスのピアノに堪能したひとときでした。