思いは実らず、1873年秋に、彼女の妹アンナと結婚。
翌年の新春早々から交響曲第4番の作曲に取り組み、3ヶ月ほどで完成。
前作の交響曲第3番や幾つかの室内楽と共にオーストリア政府文化省に提出、高額の奨学金を得ることができて、生活はようやく安定したとか…。
しかしながらこの曲の初演は、ほぼ20年後の1892年、
ニューヨーク・ナショナル音楽院院長に招聘され、渡米するにあたっての告別演奏会で、作曲者自身の指揮で演奏されたとか。
その後も楽譜の草稿はずっと手元に置かれたままで、結局生前に出版されることはありませんでした。
ドヴォルザーク自身、まだまだ改訂の余地ありと考えたのか、或いは世に出すことを躊躇する作品だったのか…?<
ただ、今日エントリーするクーベリック/ベルリン・フィルの演奏は、私が聴いた幾つかの演奏の中では、随所に穏やかな自然の情景や仄かなノスタルジーを感じさせる旋律が浮かび上がる、いかにもドヴォルザークらしいもの。
【第1楽章:Allegro】
靄の中から湧き上がるように開始される冒頭部!大いなる展開が期待されるのですが…。
ボヘミアの自然と郷愁、勇壮さが混然としているために、残念ながらまとまりが今一つ…。
しかし、クーベリックの演奏はそれぞれの表出に長けており、他のどの演奏よりも、ドヴォルザークの良さを愉しめました。
【第2楽章:Andante sosutenuto e molto cantabile】
変奏曲形式のこの楽章は、パストラール風の穏やかさの中に宗教的な厳かささえ漂う、この曲一番の聴きどころ…。
穏やかな夕暮れ時を思わせる、管楽器のみで奏される主題提示部。
変奏部は、穏やかに移ろいゆく寛ぎの世界が表出されていきます。
【第3楽章:Allegro feroce】
躍動的で颯爽とした行進曲風の主題部は、誇り高き騎馬民族の行進を思わせるもの。
エネルギッシュな民族舞曲風の中間部が静かな眠りに落ちていくと、再び主題が回帰します。
【第4楽章:Allegro con brio】
浮き立つような、エネルギッシュなリズムが繰り返される第1主題。
対照的に、東洋的な異国情緒を漂わせた、美しい第2主題。
この2つが絡まり合いながら意気揚々と盛り上がりつつ、誇らしげに曲は終わります。
クーベリックの演奏を聴いて、曲の存在価値を始めて認識できた作品でした。