最低気温は-10℃以下だったようですが、
陽射しが日毎に強くなってきて、「春遠からじ…」を感じさせてくれます。
室内楽用のアンプが故障して修理に出しているために、12月の中旬から大規模編成の曲ばかりを聴いているのですが、
今日はボールトの指揮でブラームスの交響曲第4番を…。
1973年に録音された当時の年齢(84歳)や、イギリスの指揮者というイメージが影響していたのかもしれませんが、
10数年前に聴いた時には、地味で平凡で退屈としか思えずに、途中でトレイから取り出した記憶があるこの演奏、
あらためて聴きなおして、思わず「じぇじぇじぇ!」
早目のテンポで進められる演奏からは、曲に付き纏う「ブラームス晩年の枯淡の境地云々…」のイメージは微塵も感じられませんが、
瑞々しく爽やかに展開されるイギリス指揮界の長老(当時のですが)が描くブラームスの世界は、
残雪に反射して輝くまぶしいばかりの陽射しとマッチして、春を待つ音楽として、心に沁み入ってきます…。
この曲の色んな演奏を聴いてきましたが、こんな感慨、初めてのことです!
【第1楽章:Allegro non troppo】
きりっとした早目のテンポで開始される第1主題は、纏綿とした情緒とは一線を画して、潔ささえ感じられる爽やかさが感じられるもの…。
第2主題には、巡り来る春を待つ憧れが感じられるような、瑞々しい感性の迸りが…。
再現部での悲劇的な高まりにも、力強い生命力すら感じられる演奏です。
【第2楽章:Andante moderate】
自然の中を淡々と逍遙する趣の、素朴な第1主題。
対照的に美しい感慨が込められた第2主題は、来たるべき春への憧れか、それとも過ぎ去りし青春への懐古でしょうか!
瑞々しい抒情に溢れています。
【第3楽章:Allegro giocoso】
力強く情熱的で、そして吹っ切れたような晴れやかさが感じられる主部。
途中ホルンが奏するのどかな旋律が絶妙のアクセントとなって、心に沁み入る演奏。
【第4楽章:Allegro energico e passionato】
悲痛な感情を爆発させるような、シャコンヌ主題が提示され、30の変奏とコーダへと繋がっていくこの楽章。
第12変奏からテンポが落とされ、フルート→クラリネット→ホルンへと管楽器で奏されるところは、懐かしい想い出を懐古するようで、思わず涙が…。
次第に白熱化し、大きな高まりをみせつつ、最後はテンポを抑えつつ、大団円を迎えます。
嘗て受け容れられなかった演奏から大きな感動が得られる…、
音楽を聴く大きな喜びを感じました!