最近聴いたCD

J.ブラームス:交響曲第4番 ホ短調 

E.ボールト指揮  ロンドン交響楽団  


昨日(1月7日)は朝から雲一つない、冬晴れの一日でした…。

最低気温は-10℃以下だったようですが、

陽射しが日毎に強くなってきて、「春遠からじ…」を感じさせてくれます。

室内楽用のアンプが故障して修理に出しているために、12月の中旬から大規模編成の曲ばかりを聴いているのですが、

今日はボールトの指揮でブラームスの交響曲第4番を…。


1973年に録音された当時の年齢(84歳)や、イギリスの指揮者というイメージが影響していたのかもしれませんが、

10数年前に聴いた時には、地味で平凡で退屈としか思えずに、途中でトレイから取り出した記憶があるこの演奏、

あらためて聴きなおして、思わず「じぇじぇじぇ!」

早目のテンポで進められる演奏からは、曲に付き纏う「ブラームス晩年の枯淡の境地云々…」のイメージは微塵も感じられませんが、

瑞々しく爽やかに展開されるイギリス指揮界の長老(当時のですが)が描くブラームスの世界は、

残雪に反射して輝くまぶしいばかりの陽射しとマッチして、春を待つ音楽として、心に沁み入ってきます…。

この曲の色んな演奏を聴いてきましたが、こんな感慨、初めてのことです!


【第1楽章:Allegro non troppo】

きりっとした早目のテンポで開始される第1主題は、纏綿とした情緒とは一線を画して、潔ささえ感じられる爽やかさが感じられるもの…。

第2主題には、巡り来る春を待つ憧れが感じられるような、瑞々しい感性の迸りが…。

再現部での悲劇的な高まりにも、力強い生命力すら感じられる演奏です。


【第2楽章:Andante moderate】

自然の中を淡々と逍遙する趣の、素朴な第1主題。

対照的に美しい感慨が込められた第2主題は、来たるべき春への憧れか、それとも過ぎ去りし青春への懐古でしょうか!

瑞々しい抒情に溢れています。


【第3楽章:Allegro giocoso】

力強く情熱的で、そして吹っ切れたような晴れやかさが感じられる主部。

途中ホルンが奏するのどかな旋律が絶妙のアクセントとなって、心に沁み入る演奏。


【第4楽章:Allegro energico e passionato】

悲痛な感情を爆発させるような、シャコンヌ主題が提示され、30の変奏とコーダへと繋がっていくこの楽章。

第12変奏からテンポが落とされ、フルート→クラリネット→ホルンへと管楽器で奏されるところは、懐かしい想い出を懐古するようで、思わず涙が…。

次第に白熱化し、大きな高まりをみせつつ、最後はテンポを抑えつつ、大団円を迎えます。


嘗て受け容れられなかった演奏から大きな感動が得られる…、

音楽を聴く大きな喜びを感じました!

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