最近聴いたCD

フランシス・プーランク:ピアノ組曲「ナポリ」 

ピアノ:エリック・ル・サージュ


1922年、フランス6人組の中でもとりわけ仲の良かったダリウス・ミヨーと共にイタリアを旅行した際、ナポリでの印象を基に着想をされたもの。

楽譜には、「ジュリエット・ミールヴィツへの思い出」(職業・作曲者との関係等不明、ご存知でしたら教えて下さい)と記されているそうですが…。

ル・サージュの演奏で聴くこの曲は、彼の代表曲とは異なって、ロマンチックな印象が前面に押し出されているようですが、

そんな中にも奔放で、且つ軽妙洒脱さを仄かに漂わせた、何ともお洒落な味わいを有したもの。


【第1曲:舟歌】

陽光の煌めきと共に波の揺れを感じさせて、不安定でつかみどころがないのですが、妙に心地良さが感じられる、摩訶不思議な音楽!

サティの作品を思わせる部分もあり、且つロマンチックな趣をも湛えつつ、移ろいゆく響き…。

最後は解決を見ることなく、頼りなげに終わります…。


【第2曲:夜想曲】

主部は、静寂に包まれた夜の世界にふりそそぐ月の光を髣髴するような、繊細で美しい音楽!

中間部には、緊張した雰囲気が漂うのですが…

再び繊細な世界へと回帰し、この曲も曖昧なままに終了…。

この1、2曲目は、ロマンチックな中にプーランク独自の哀愁が滲み出た、佳曲です!


【第3曲:イタリア奇想曲】

ピアノの技巧を駆使して、かの国のカーニバルを描いたようなこの第3曲は、友人ミヨーの多調音楽を思わせる、華やかできらびやかなもの!

ヴィルトゥオーソ好みの、演奏効果満点の音楽と言われますが、

途中、オリエンタルな異国情緒と哀愁を湛えた音楽には、プーランクらしさが…。


「ナポリ」という曲名に惹かれて聴いたのですが、

イタリア的情緒というよりも、自ずとフランス的エスプリに包み込まれながら愉しんだ演奏でした。

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