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ベートーヴェン:交響曲第2番 ニ長調

ジョージ・セル指揮  クリーヴランド管弦楽団


ベートーヴェンの持病と言われた難聴が悪化した時期である1801〜02年にかけて作曲された交響曲第2番には、

そんな兆候が全くと言って感じられないほど、穏やかな協調性と若々しい輝きに溢れた作品。

これまで色んな演奏を聴いてきましたが、

颯爽として風通しが良く、時折強いアクセントを付けて奏される(sfz=スフォルツランド)金管の瑞々しく輝かしい響きが印象的な、セル/クリーヴランド管の演奏をエントリーします。


【第1楽章:Adagio molto-Allegro con brio】

青春期の特有の美しい憂いを帯びつつ、ゆっくり歩みを進める序奏部。

主部では、隅々にまで若々しい喜びと覇気が漲った青春の歌が展開されていきます。


【第2楽章:Larghetto】

耳疾患に悩みつつ書かれたとされるこの曲ですが、夏の日の黄昏時に感じられるような、穏やかな心象風景が描かれています。

慈愛に満ちたB.ワルターの演奏を思い出しつつも、

涼風に身を委ねるような爽やかで心地良いセルの演奏に、心惹かれていきます。


【第3楽章:Scherzo.Allegro】

弾けるような意気込みと、疾走することによる喜悦感が全身に溢れてくるようなスケルツオ。

きびきびとした疾走感が、何とも心地よい楽章です。


【第4楽章】

力強い推進力と、瑞々しい抒情を感じさせる終楽章。

移ろいゆく多彩な感情が表現された、伸びやかな青春讃歌でしょうか!

若い頃、汽車に乗って見知らぬ土地を訪れるような、そんなワクワク感を覚える演奏です。


ゲルマン魂云々を払拭し、永遠の若々しさを見事に表現したセルの名演!

是非とも、ご一聴されることをお薦めします!

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