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アルベニス:組曲「イベリア」第2集

アリシア・デ・ラローチャ


1900年に腎臓病(心臓疾患とも?)を患ったアルベニス(1860-1909)は、

その最晩年、病をおして、スペインの印象をピアノで表現しようと、4集(各3・全12曲)からなる「イベリア」を完成しました。

この曲集は、単にスペインの民族音楽の持つエッセンスに加え、

1890年代のパリ定住時に知遇を得たフォーレ、ショーソン、デュカス等の影響を受けており、

フランスの香気が漂う音楽として、高い評価を得ており、

ドビュッシーやラヴェルにも大きな影響を与えたそうです!


「12の新しい印象」という副題が付けられたこの曲集ですが、

それぞれが独立した曲と考えても、差し支えはなさそうです。

今日エントリーするのは、その中から第2集の3曲を、アリシア・デ・ラローチャの演奏で…。


【第1曲:ロンデーニャ】

ギターとカスタネット(或いは手拍子)で伴奏する、ファンダンゴの変種とされる舞曲。

スペイン南部アンダルシア州マラガ県の都市、ロンダに由来すると言われています。

カスタネットを打ち叩くような活気のあるリズムで始まり、

心地良い気だるさを感じさせる中間部を挟んで、

後半部では、燃えたぎる情熱が沸騰するような盛り上がりが!

そしてエンディングは、心静かに暮れなずむ空にたなびく茜色の雲を見るように、郷愁が漂います…。


【第2曲:アルメリア】

アンダルシア州東端部、地中海に沿った港湾都市の名。

静かな海に浮かぶ小舟のように、心地良い揺れを感じながら開始され、

月の光に照らされた櫂の雫をを思わせるような、幻想的で繊細な雰囲気が漂います。


【第3曲:トゥリアーナ】

セビリアの一画にある、ロマの居住地の名称。

雰囲気の異なったモチーフが次から次へと奏でられる第1主題は、

さながら風に舞う枯葉のよう…。

第2主題の繊細な響きは、あたかも穏やかな晩秋の風情を髣髴させてくれる、情緒豊かな魅力に溢れた音楽。


ラローチャの第2集の演奏は、

全4集の中でもアルベニスの故郷への郷愁と、慈しむような愛が滲み出た、

とりわけ秀逸なものだと感じました。

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