最近聴いたCD

サン=サーンス:序奏とロンド・カプリチオーソ

I.パールマン(Vn)
ズビン・メータ指揮  ニューヨーク・フィルハーモニー管


今日は9月27日、昨夕から少し肌寒さを感じていましたが、雲一つない快晴の今朝の気温は7℃とか…。

どうりで、朝5時半過ぎに愛犬の散歩に出た時に、手袋が恋しくなったはずです。

ここ数日珍しく所用が立て込み、音楽とはごぶさたしていましたが、

初秋の爽やかさに、にわかにノスタルジーを覚えて、

未だ若かりし頃に良く聴いた、パールマン/メータ・NYPによるヴァイオリンの小品集を取り出しました。

収録されているのは、サラサーテ「カルメン幻想曲」、ショーソン「詩曲」、サン=サーンス「ハバネラ」、ラヴェル「ツィガーヌ」といった、

どちらかというと物憂げで、艶っぽさを感じさせる曲が多いのですが、

その中では最も爽やかで、且つ蠱惑的な表情を湛えた、サン=サーンスの「序奏とロンド・カプリチオーソ」をエントリーします。


サン=サーンス25歳の時に書かれたこの作品は、19世紀半ばから後半にかけて一世を風靡した名ヴァイオリニスト・サラサーテ(スペイン生まれ)を意識したもので、

濃厚なスペイン情緒と超絶技巧を駆使した作品として、広く知れ渡っています。


序奏部は、スペイン情緒に溢れつつ、ノスタルジックでメランコリーなもの。

パールマンの奏でる、打ち震えるような蠱惑的な音色に、いきなり惹かれていきます。


主部のロンドに入ると、オーケストラの刻むリズムに乗って奏でられるソロヴァイオリンの旋律が奏でられますが、

飛び抜けた知性と美貌を併せ持った女性が発するオーラのように、

溢れんばかりの威風を湛えて闊歩するが如くの音楽なのですが、

それでも嫌みのない、爽やか気分が漂うのは、サン=サーンスの卓抜なセンスと申せるのでしょう…。


その後に繰り広げられるヴァイオリンの技巧の限りを尽くしたパールマンの表現ですが…。

今日のような爽やかな初秋の真昼間に、不埒な例えで恐縮ですが、

あたかも男どもを惑わせる美女の百態を嫌みなく想像させてくれます!

時に踊りに興じながら陶酔状態に陥り、しなだれかかるような蠱惑的な表情が、

時にベッドに横たわりつつ、微笑みかけながら艶めかしい姿態を曝すような…。

美しい音色と豊かな表情によって聴き手に心地良い想像力を羽ばたかせる、見事なものだと思いました。

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