台風一過の昨日・今日は、空気が入れ替わったかのように秋冷の候が実感できる、雲一つない秋晴れの天気になりました…。
「私の生まれ故郷の民謡“鳥の歌”を弾かせていただきます。カタロニアの小鳥たちは、青い空に飛び立つとピース(peace)、ピースと鳴くのです」(P.カザルス:読売新聞の記事より)
スペイン内戦が独裁者フランコの勝利に終わった時、祖国の民主化が成就するまでは楽壇に復帰しないと決断したカザルスでしたが、
全世界の音楽家や愛好家の熱意に動かされ、1950年に再び演奏活動を開始して以降は、
平和への祈りを込めて、最後にこう言って「鳥の歌」を弾き、コンサートを締め括ったそうです。
愛する人々や祖国をを失った悲しみや怒り、そして平和への希求が込められたカザルスの演奏は、申すまでもなく是非ともお聴き頂きたいものですが、
今日エントリーするのは、M.マイスキーのチェロとP.ギリロフのピアノによるチェロ小品集「Meditation」に収録されたもの。
マイスキー21歳の1969年、実姉がイスラエルへ亡命したためにソヴィエト当局の監視下に置かれ、翌年から18ヶ月間は強制労働収用所で18ヶ月間の苦役を強いられたとか。
カザルスの演奏に聴ける「怒り」こそ感じられませんが、
抑制された悲しみや情熱、そして控え目に燃える自由への希求は、
彼のこういった体験が礎となって表現し得たのではないかと考えてしまうほどに、深く感動的なものです。
「鳥の歌」のもう一つの名演奏として、是非一聴されることをお薦めします。