避寒先のカイロで作曲されたこの作品には、
地中海の澄み切った空気や、
エキゾチックな雰囲気が反映されていて、
絵画的な側面が強く印象づけられる佳曲です!
それに、61歳の作品とはとても思えないほどに、何と若々しく、瑞々しい感性に溢れていることでしょう!
標高950mの当地でも、日中の気温は30℃を優に超える蒸し暑い日ですが、
天高く澄み切った秋の日のような清々しさを感じさせてくれるP.ロジェのピアノ独奏と、デュトワ指揮するロイヤル・フィルの演奏をエントリーします。
【第1楽章:Allegro animato】
オーケストラが風のそよぎのような爽やかな雰囲気を醸し、きらめくように滑らかに瑞々しく奏されるピアノの響きが入ってくる冒頭部は、
澄み切った秋空に浮かぶ雲の下で、海浜に遊ぶような趣きの音楽…。
メランコリーを含んだ旋律が、幻想的な雰囲気を醸します!
【第2楽章:Andante】
副題の「エジプト風」の由来は、この楽章に漂う異国情緒ゆえ…。
情熱的な舞曲風に開始されるこの楽章は、
それに続く、ピアノが奏する艶めかしい哀愁を湛えた旋律によって、一気にエキゾチックな雰囲気を醸します。
ラプソディックに発展する音色・リズムによって異国情緒が一層高まり、
聖堂(モスク?)での祈りを思わせる神秘感が漂ったり、
砂漠に舞い上がる砂塵を思わせる描写も…。
瑞々しい感動に由来するのであろう卓抜な描写が、実に爽やかに感じられます。
【第3楽章:Molto allegro】
イスラム圏の市場の、弾けるような活気に溢れた賑わいを思わせる第1主題と、
愉しげな気分が横溢した第2主題が絡みながら進行!
溌剌として、センスあふれる音楽が展開していきます。
ストレスフリーで、爽やかで心地良い曲であり、演奏でした!