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J.ハイドン:交響曲第92番「オックスフォード」

オットー・クレンペラー指揮  ニュー・フィルハーモニア管


ハイドン(1732-1809)を崇拝してやまなかったイギリスの音楽学者チャールズ・バーニーの尽力により、オックスフォード大学から名誉博士の称号を贈られたハイドンが、

学位授与式にあたってこの曲を指揮したことから、「オックスフォード」の副題が付けられたそうです…。


1789年に完成されたこの交響曲は、四つの楽章を通じて穏やかさとユーモアが同居しつつも、時に暗雲さらには悲劇的様相が顔をみせる作品!

今日エントリーするクレンペラー/ニュー・フィルハーモニア管の演奏は、

随所に垣間見えるそんな表情を、「枝葉末節に拘るな!」とばかりに笑い飛ばすような豪放磊落な性格が感じられ、

何とも男っぽい、大らかな魅力を湛えた名演だと思います!


【第1楽章:Adagio-Allegro spirioso】

早朝の清冽な大気が漲るような、清々しい序奏部!

時に憂いが影を落とし、

時に事を覆すような衝撃を受けつつも、

力強く大らかな演奏からは、生命力に溢れた喜悦感が迸ります。


【第2楽章:Adagio】

三部形式の主部は、心穏やかな安らぎの音楽が…。

クレンペラーの演奏が織り成す木管楽器の得も言われぬ表情が、何とも効果的に感じられます。

中間部の悲劇的な旋律と、悪ふざけ(orこけおどし)を思わせる豪放なリズムからは、いかにもハイドンらしい大らかさが…!


【第3楽章:Menuetto・Allegretto】

主部は時折暗雲が顔を覗かせるものの、シンコペーションや全休止が使われた、豪放磊落な印象が強いもの!

のどかでとぼけたホルンの響きが、何とも言えない心地よさを産み出します!


【第4楽章:Presto】

終楽章は、繰り返される転調によって気分はコロコロと変化しつつも、

楽しく奔放で、心地良い疾走感に溢れた音楽が展開されます。


クレンペラーのハイドンは、生身の気取らない人間の姿が表出されており、

最も親しみ易く、且つ味わいの深い演奏と感じられます。

特に、この「オックスフォード」は、私が全4楽章を通して愉しめる唯一の演奏!

機会がありましたら、是非ご一聴下さい。

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