学位授与式にあたってこの曲を指揮したことから、「オックスフォード」の副題が付けられたそうです…。
1789年に完成されたこの交響曲は、四つの楽章を通じて穏やかさとユーモアが同居しつつも、時に暗雲さらには悲劇的様相が顔をみせる作品!
今日エントリーするクレンペラー/ニュー・フィルハーモニア管の演奏は、
随所に垣間見えるそんな表情を、「枝葉末節に拘るな!」とばかりに笑い飛ばすような豪放磊落な性格が感じられ、
何とも男っぽい、大らかな魅力を湛えた名演だと思います!
【第1楽章:Adagio-Allegro spirioso】
早朝の清冽な大気が漲るような、清々しい序奏部!
時に憂いが影を落とし、
時に事を覆すような衝撃を受けつつも、
力強く大らかな演奏からは、生命力に溢れた喜悦感が迸ります。
【第2楽章:Adagio】
三部形式の主部は、心穏やかな安らぎの音楽が…。
クレンペラーの演奏が織り成す木管楽器の得も言われぬ表情が、何とも効果的に感じられます。
中間部の悲劇的な旋律と、悪ふざけ(orこけおどし)を思わせる豪放なリズムからは、いかにもハイドンらしい大らかさが…!
【第3楽章:Menuetto・Allegretto】
主部は時折暗雲が顔を覗かせるものの、シンコペーションや全休止が使われた、豪放磊落な印象が強いもの!
のどかでとぼけたホルンの響きが、何とも言えない心地よさを産み出します!
【第4楽章:Presto】
終楽章は、繰り返される転調によって気分はコロコロと変化しつつも、
楽しく奔放で、心地良い疾走感に溢れた音楽が展開されます。
クレンペラーのハイドンは、生身の気取らない人間の姿が表出されており、
最も親しみ易く、且つ味わいの深い演奏と感じられます。
特に、この「オックスフォード」は、私が全4楽章を通して愉しめる唯一の演奏!
機会がありましたら、是非ご一聴下さい。