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アドルフ・アダン:歌劇「我、もし王者なりせば」序曲

ハンス・フォンク指揮  シュターツカペレ・ドレスデン管


フランスの作曲家アドルフ・アダンは、

ロマンチックバレーの代表とされる「ジゼル」と、

後はせいぜい、欧米でクリスマス・キャロル“O Holly Night”(日本では賛美歌「さやかに星はきらめき」)の作曲家として知られている程度…。

所謂、一発屋の作曲家ということなのでしょうが、

今日エントリーする歌劇「我、もし王なりせば」序曲は、何と愉しげでメルヘンチックな曲なのでしょう!

ネットではオペラの粗筋は探すことができませんでしたが、

序曲を聴いた感じから察するに、

「もしも自分が王様だったら、あんなこともこんなこともやってみたい…」

子供が抱くそんな夢物語のような、ストレスフリーなコミック・オペラと推察しているのです…。


活気に溢れた音楽で開始され、直ぐにテンポが緩められると、

先ずホルン、続いてハープが夢のようなメルヘンの世界を醸します。

(多分)Andanteのテンポは、ウキウキした気持で夢の中(orお伽の国)を逍遙するような趣が…。

特に高弦部の、とびきり清澄で美しい響きは、前述した2曲とも共通する、アダンの作品の持つ特質なのかと感じました!

この清澄さは、シュターツカペレ・ドレスデンの弦の、羽毛のような軽やかさがなせる技なのでしょうか…。


夢が終わると、再びテンポが速まって、無邪気でワクワクドキドキ感に溢れた、愉しげで高揚した心地良い音楽が…

今度はシロフォンの響きが、幼い日々の懐かしいおもちゃの世界へと誘ってくれます。

三たびテンポが速まった後に、

今度は変則的なギャロップ風のリズムが登場、

次第に早足となって、最後には全速力で疾走するような爽快さが…!


台風3号の影響で、少し蒸し暑さが感じられる今朝の気候ですが、

何とも爽やかで、心地良い曲であり、演奏を耳にしたものです。

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