ロマンチックバレーの代表とされる「ジゼル」と、
後はせいぜい、欧米でクリスマス・キャロル“O Holly Night”(日本では賛美歌「さやかに星はきらめき」)の作曲家として知られている程度…。
所謂、一発屋の作曲家ということなのでしょうが、
今日エントリーする歌劇「我、もし王なりせば」序曲は、何と愉しげでメルヘンチックな曲なのでしょう!
ネットではオペラの粗筋は探すことができませんでしたが、
序曲を聴いた感じから察するに、
「もしも自分が王様だったら、あんなこともこんなこともやってみたい…」
子供が抱くそんな夢物語のような、ストレスフリーなコミック・オペラと推察しているのです…。
活気に溢れた音楽で開始され、直ぐにテンポが緩められると、
先ずホルン、続いてハープが夢のようなメルヘンの世界を醸します。
(多分)Andanteのテンポは、ウキウキした気持で夢の中(orお伽の国)を逍遙するような趣が…。
特に高弦部の、とびきり清澄で美しい響きは、前述した2曲とも共通する、アダンの作品の持つ特質なのかと感じました!
この清澄さは、シュターツカペレ・ドレスデンの弦の、羽毛のような軽やかさがなせる技なのでしょうか…。
夢が終わると、再びテンポが速まって、無邪気でワクワクドキドキ感に溢れた、愉しげで高揚した心地良い音楽が…
今度はシロフォンの響きが、幼い日々の懐かしいおもちゃの世界へと誘ってくれます。
三たびテンポが速まった後に、
今度は変則的なギャロップ風のリズムが登場、
次第に早足となって、最後には全速力で疾走するような爽快さが…!
台風3号の影響で、少し蒸し暑さが感じられる今朝の気候ですが、
何とも爽やかで、心地良い曲であり、演奏を耳にしたものです。