北欧諸国の音楽界の近代化に貢献したとされるゲーゼが、
彼がコペンハーゲン音楽院受験前に書いた弦楽四重奏曲(習作)に高い評価を与えたお蔭で、作曲科に入学を許可されたとか。
それだけに、卒業した1887から翌年にかけて書かれた弦楽四重奏曲第1番も、
若書きの作品とは言え、ロマン派の残像が色濃い中に多調性等の斬新さが垣間見れる、
意欲的であると同時に深い味わいを有した、趣の深い作品と感じます。
【第1楽章:Allegro non troppo ma energico】
静けさを装いつつも、内面に燃えたぎる情熱をはらんだ第1楽章は、
黒海とバルト海に囲まれた半島部と、周辺の多くの島々からなる海洋国デンマークの、
力強いロマンと崇高な精神性に溢れた、若々しく力強い音楽!
「交響曲にすれば、さぞかし…」と思えるほどに、勇壮な内容です!
【第2楽章:Un poco adagio】
果てしなく続く大海原と紺碧の空…。
陽が落ちて、次第に弱まりゆく残照…。
4つの楽器の響きが繊細な光の変化を感じさせる、素晴らしい楽章です。
そう!グラスに注がれたシャンパンの泡が次第に鎮まり、透明な琥珀色へと変化するような趣です…!
【第3楽章:Allegretto scherzando】
愛らしくって活気に満ちて、愉悦感溢れるスケルッオは、デンマークの民族舞曲風…?
中間部では、一抹の憂愁を感じさせるバグパイプの音色が聴こえてきます。
【第4楽章:Allegro appassionato】
勇壮できびきびとした楽想の中に、郷愁を含んだ終楽章。
レジュメ(要約)と記されたコーダ部は、
全楽章の主題が絡み合って回想されて、一致団結して感動的な盛り上がりを見せます!
1973年、ニールセンの祖国デンマークで創立されたコントラ四重奏団は、
デビューコンサートで、シューベルト、バルトークに加えてニールセンの四重奏曲を採り上げ、
以降も頻繁にニールセンの作品を紹介し続けているそうです。
この曲の素晴らしさが強く印象づけられた、感動的な演奏だと思います!