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F.シューベルト:
交響曲第6番 ハ長調

H.ブロムシュテット指揮  シュターツカペレ・ドレスデン 


この交響曲が書かれた1817〜8年にかけてのウィーンでは、ロッシーニの音楽が大変な評判を呼んでいました。

教員生活を辞め、プロの作曲家を目指した当時20歳のシューベルトも、少なからず彼の影響を受け、自分なりに咀嚼したと言われています。

その成果が、この曲の持つ軽快な爽やかさとして表現されているのでしょうか!

エントリーするブロムシュテット/シュターツカペレ・ドレスデンの演奏は伸びやかながら、随所に清明な繊細さが表現された素晴らしい演奏!


この曲は、シューベルトの生前に日の目を見ることはなく、

死後1ヶ月が経った追悼演奏会が開かれる際に、

第9番の「グレート」が演奏至難との理由から、同じハ長調の調性を持つこの曲が、代用として演奏されたと言われています。


【第1楽章:Adagio−allegro】

力強い和音が鳴り響いて開始されますが、すぐに穏やかな表情へと変化し、さながらお伽の国へと誘われるような、メルヘンチックな冒頭のアダージョ部。

ホルンに導かれながら突入する主部は、屈託のない子供たちの遊びを思わせるような、軽快で愉悦感に溢れた溌剌とした音楽です。


【第2楽章:Andante】

夢の中の世界を逍遙するような、穏やかで屈託の無い美しさ!

シューベルトならではの魅力に溢れた、素晴らしい音楽です…。


【第3楽章:Scherzo:Presto】

シューベルトが交響曲に初めて導入したスケルツォ楽章。

軽快で楽しげな主部と、

“ドーン、ドーン”というように、勿体を付けた特徴的なリズムを刻む中間部との対比は、

ベートーヴェンの第7交響曲の3楽章を意識して書かれたとか。

屈託のない、愉しい音楽として表現されています!


【第4楽章:Allegro moderate】

軽快で屈託のない舞曲風の主題が軽やかに、次第に高潮していきます。

この無邪気さは、後年のピアノソナタD850の終楽章に見られる清明な心境に繋がるような気がして、大変に興味深いもの!


演奏される機会は少ないようですが、シューベルトらしい瑞々しい美しさに溢れた佳曲だと思います!

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