最近聴いたCD

ベートーヴェン:
弦楽四重奏曲第8番(ラズモフスキー第2番)

ズスケ弦楽四重奏団 


ロシアのウィーン大使ラズモフスキー伯爵から依頼を受けて書かれた3曲の弦楽四重奏曲のうちの2曲目。

1806年、35歳の時の作品で、苦悩しつつも前向きに理想を追い求める若々しい情熱が迸る、大変に求心力の高い音楽で、

まさにベートーヴェン中期の傑作の一つと感じます。

名曲故に、LP時代から個性豊かな名演奏に恵まれた作品だと思うのですが、そんな中で今日聴いたのは、ズスケ四重奏団…。

味わい深さの点では、随一の演奏だと思うのです…。


【第1楽章:Allegro】

冒頭部の激しい和音に続く、鬱々とした心の表出が感じられる第1主題。

第2主題は、一転して希望に溢れた晴れやかな気分が…。

若き日の悩める青年のナイーヴな心境が告白されたような、奥深いロマンが感じられる音楽が展開されます!


【第2楽章:Molt adagio(深い感情をもって)】

地道に努力しつつも解決が見いだせない、真摯に歩む若者の姿に共感を覚えるような、ベートーヴェンならではの美しく感動的な音楽!


【第3楽章:Allegretto】

独特のリズムで奏される主部は、虚ろな心の中に明滅する、未だ確信が得られない理想の姿のような儚さが…。

対照的に中間部は、ロシア民謡の旋律が使われた力強いフーガによって、地に足のついた実直さが鮮烈な印象として刻み込まれる…、

素晴らしいスケルツォ楽章です。


【第4楽章:Presto】

朗らかな旋律と、生気に溢れたリズムで展開される終楽章は、常に前向きに歩を進めていく、肯定的な音楽!

コーダでは急速に加速し、決然とした意志を漲らせて、曲は終わります!


「地味ながら、心に深い感動を刻み込んでくれる」

ズスケ四重奏団の演奏するベートーヴェンの中期弦楽四重奏曲は、そんな名演奏揃いだと思います!

ホームページへ