最近聴いたCD

ハインリッヒ・ビーバー:
レクイエム ヘ短調(5声のための)

フィリップ・ピケット指揮  ニュー・ロンドン・コンソート 


ハインリッヒ・ビーバー(墺:1644-1704)は、北ボヘミアのドイツ系の家庭で生まれた作曲家兼ヴァイオリニスト。

1670年頃からザルツブルグの宮廷ヴァイオリニスト、そして1684年からは同楽団の楽長に昇進。

ドイツにおけるヴァイオリン音楽の確立者と言われています。


今日エントリーする「レクイエム・ヘ短調(5声)」は、作曲年代が不明。

比較的有名な「レクイエム・イ長調(15声)」と勘違いして買ったのですが、これがなかなかの佳作!

初めて聴いたばかりなのですが、

「親しみ易く、耳触りが良い」という、レクイエム(死者のためのミサ曲)を評するには何とも風変りな印象が真っ先に浮かび、

気になる個所もありましたので、あらためて聴き直した次第…。


この「レクイエム・ヘ短調」は、構成こそ儀式の形式を採ってはいるものの、

随所で奏でられるソロ・ヴァイオリンが、実に効果的な役割を演じているために、

親しみ易く、耳触りが良いレクイエムと感じたのだと思えます。

一例を挙げれば、第1曲の入唱祭での、哀愁を含んだ懐かしさを覚えるシンプルな旋律と、

それに寄り添いつつ、優しく慰めるように奏でられるソロ・ヴァイオリンの美しさ。

このソロ・ヴァイオリンが随所で効果的に寄り添うために、

古今の有名なレクイエムとは趣が異なり、死への恐れやおののきと一線を画した、雅で慈愛に満ちた作品と感じるのでしょう。


興味深かったのが、第4曲「サンクトウス」の、心と心が呼び交わすような美しい旋律が、

ブラームスの交響曲第4番第1楽章の冒頭主題と、そっくりだったこと!


そんな思わぬ発見も含めて、心の底から癒される、美しく興味深い作品と出遭うことができました!

ホームページへ