1670年頃からザルツブルグの宮廷ヴァイオリニスト、そして1684年からは同楽団の楽長に昇進。
ドイツにおけるヴァイオリン音楽の確立者と言われています。
今日エントリーする「レクイエム・ヘ短調(5声)」は、作曲年代が不明。
比較的有名な「レクイエム・イ長調(15声)」と勘違いして買ったのですが、これがなかなかの佳作!
初めて聴いたばかりなのですが、
「親しみ易く、耳触りが良い」という、レクイエム(死者のためのミサ曲)を評するには何とも風変りな印象が真っ先に浮かび、
気になる個所もありましたので、あらためて聴き直した次第…。
この「レクイエム・ヘ短調」は、構成こそ儀式の形式を採ってはいるものの、
随所で奏でられるソロ・ヴァイオリンが、実に効果的な役割を演じているために、
親しみ易く、耳触りが良いレクイエムと感じたのだと思えます。
一例を挙げれば、第1曲の入唱祭での、哀愁を含んだ懐かしさを覚えるシンプルな旋律と、
それに寄り添いつつ、優しく慰めるように奏でられるソロ・ヴァイオリンの美しさ。
このソロ・ヴァイオリンが随所で効果的に寄り添うために、
古今の有名なレクイエムとは趣が異なり、死への恐れやおののきと一線を画した、雅で慈愛に満ちた作品と感じるのでしょう。
興味深かったのが、第4曲「サンクトウス」の、心と心が呼び交わすような美しい旋律が、
ブラームスの交響曲第4番第1楽章の冒頭主題と、そっくりだったこと!
そんな思わぬ発見も含めて、心の底から癒される、美しく興味深い作品と出遭うことができました!