高校1年生の時に初めて買ったクレンペラー指揮する交響曲第4番を聴いてから、50年近くが経過しましたが、
ブルックナーを聴く時には、今も当時と同じような儀式(?)を踏んでいます。
「何気なく聴いているうちに、いつしか曲に惹き込まれていく」という体験は、ブルックナーに関しては、多分一度も無かったはず…。
特別な環境を整えて、畏敬する音楽に接するという覚悟で臨むことによって、唯一無二の感動が得られる、そのような音楽だと思っています…。
唯一の例外が、今日エントリーする交響曲第2番!
この曲を初めて聴いたのは、比較的最近のことです。
私が親しんできた第3番以降の交響曲と同じく、まぎれもないブルックナーなのですが、
伸びやかで、透き通った大気に包みこまれるような爽やかさが感じられる、瑞々しい魅力に溢れています。
思いついた時にトレイに載せて、気楽に楽しめる作品!
【第1楽章:Ziemlich schnell】
仄かな憂愁が含まれた伸びやかな第1主題は、果てしなく広がる青空へと吸い込まれていくような美しさ!
オーボエの特徴的な旋律やホルンの伸びやかな響きが、のどけさを醸し、しみじみとした幸福感に包まれます!
【第2楽章:Adagio(Feierlich、etwas bewegt)】
穏やかさに包まれて自然の中を逍遙するような、充足感に満ちた安らぎの楽章!
ブルックナーの緩徐楽章でしばしば聴き取れる「荘厳さ」はなく、孤独を愛する若者の姿が感じられます。
【第3楽章:Scherzo】
凛々しく力強い若者の立ち姿を髣髴するような、爽やかな舞曲風の主部。
鳥たちの囀りを思わせる木管の響きが、印象的です。
トリオでは、ヴィオラが奏でる旋律の涼やかさ!
【第4楽章:Finale、Mehr schnell】
主題は、錯綜した心境の表現のようにも思えるのですが、途中で現われる「ヘ短調ミサ」のキリエ主題が神々しく響き、救われるような思いに!実に印象的な、終楽章です。
今回は偶々ヴァントの演奏をエントリーしましたが、
ジュリーニ/ウィーン響の演奏も強く印象に残っていることを、申し添えておきます。