最近聴いたCD

アントン・ブルックナー:
交響曲第2番 ハ短調(ハース版)

ギュンター・ヴァント指揮  ケルン放送交響楽団 


「さぁ、これからブルックナーを聴くぞ!」と気持を高めて、一切の雑念を振り払ってスピーカーの前に坐って、演奏に集中する!

高校1年生の時に初めて買ったクレンペラー指揮する交響曲第4番を聴いてから、50年近くが経過しましたが、

ブルックナーを聴く時には、今も当時と同じような儀式(?)を踏んでいます。

「何気なく聴いているうちに、いつしか曲に惹き込まれていく」という体験は、ブルックナーに関しては、多分一度も無かったはず…。

特別な環境を整えて、畏敬する音楽に接するという覚悟で臨むことによって、唯一無二の感動が得られる、そのような音楽だと思っています…。


唯一の例外が、今日エントリーする交響曲第2番!

この曲を初めて聴いたのは、比較的最近のことです。

私が親しんできた第3番以降の交響曲と同じく、まぎれもないブルックナーなのですが、

伸びやかで、透き通った大気に包みこまれるような爽やかさが感じられる、瑞々しい魅力に溢れています。

思いついた時にトレイに載せて、気楽に楽しめる作品!


【第1楽章:Ziemlich schnell】

仄かな憂愁が含まれた伸びやかな第1主題は、果てしなく広がる青空へと吸い込まれていくような美しさ!

オーボエの特徴的な旋律やホルンの伸びやかな響きが、のどけさを醸し、しみじみとした幸福感に包まれます!


【第2楽章:Adagio(Feierlich、etwas bewegt)】

穏やかさに包まれて自然の中を逍遙するような、充足感に満ちた安らぎの楽章!

ブルックナーの緩徐楽章でしばしば聴き取れる「荘厳さ」はなく、孤独を愛する若者の姿が感じられます。


【第3楽章:Scherzo】

凛々しく力強い若者の立ち姿を髣髴するような、爽やかな舞曲風の主部。

鳥たちの囀りを思わせる木管の響きが、印象的です。

トリオでは、ヴィオラが奏でる旋律の涼やかさ!


【第4楽章:Finale、Mehr schnell】

主題は、錯綜した心境の表現のようにも思えるのですが、途中で現われる「ヘ短調ミサ」のキリエ主題が神々しく響き、救われるような思いに!実に印象的な、終楽章です。


今回は偶々ヴァントの演奏をエントリーしましたが、

ジュリーニ/ウィーン響の演奏も強く印象に残っていることを、申し添えておきます。

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