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マックス・ブルッフ:交響曲第1番 変ホ長調

クルト・マズア指揮  ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団 


「春眠不覺曉 處處聞啼鳥 夜来風雨聲 花落知多少」

軽井沢では、花こそ未だ咲いてはいませんが、

夜間に爆弾低気圧が通過したために大荒れの天気で、今朝の目覚めはまさしくこんな風情…。

午前中は、晴れているのかと思うと、遥か遠くの方で雷鳴が響き、突然の驟雨に見舞われたり…。

心身ともに今一つシャキッとはせず、何となく気だるいのですが、その気だるさが妙に心地良かったりして…。


こんな日にたまたま聴いたのが、ブルッフの交響曲第1番!

10数年前に聴いた時には、メリハリのない退屈な曲との印象しかなかったのですが、

あらためて聴いて、思いがけずも穏やかなロマンの世界にどっぷりと浸ることが出来、心地良い幸せなひとときを過ごすことができました。


【第1楽章:Allegro maestoso】

冒頭、ホルンと弦が奏でるシューマンを思わせる憂愁を含んだ旋律は、

今まさに未知のロマン派の交響曲が始まることへの、不思議な期待感と喜ばしさが感じられます。

シューマンの作品のように、繊細に移ろいゆく憂愁の素晴らしさ!

弦と木管の慎ましやかな対話から、穏やかな森の情景が髣髴されるのは、ブルッフのオーケストレーションがシューマンより長けているからでしょうか。

ドイツ前期ロマン派の交響曲が醸す雰囲気に浸る悦びが、じんわりとこみ上げてきます。


【第2楽章:Scherzo(Presto)】

早春のそよ風のように瑞々しい息吹を感じさせるスケルツオ部は、メンデルスゾーンを思わせるもの。

勇壮な行進曲風の中間部も、穏やかさと高貴さを湛えた、魅力的な音楽です!


【第3楽章:Quasi fantasia(Grave)】

ヴァイオリンが奏でる哀愁を湛えた第1主題の、瞑想的な美しさ!

木管や金管楽器の歌も、夕べの寛ぎを思わせるような穏やかさを湛えています。

この静謐な音の世界に浸られること、是非ともお薦めしたいと思います!


【第4楽章:Fainal(Allegro guerriero)】

明るくウキウキとした舞曲風の終楽章は、

“則をわきまえた”控え目な悦びながら、内的充足感が滲み出た、素晴らしい音楽です!


エントリーした演奏しか聴いたことがないのですが、

穏やか内的充足感に満たされた、素晴らしいロマン派の音楽に触れることができたこと、感謝したいと思います!

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