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ショパン:ノクターンop.37-1、2

クラウディオ・アラウ(ピアノ)


1838年、ショパンは恋人ジョルジュ・サンドと共に、パリ生活でのお互いの創作の妨げとなる世間の好奇の目を避け、

転地療養を兼ねてマヨルカ島へと出向きました。

しかし、二人のスキャンダラスな境遇を知った島の人々の嫌悪の目に曝されて快適な生活を送ることが出来ず(田舎暮らしとは、そういうもの!)、

そのためにショパンの肺病は、逆に悪化の一途をたどりました。

op.37の2曲のノクターンは、そんなマヨルカ島での生活を過ごす前と後とに書かれた作品と言われています。

この2曲を、クラウディオ・アラウが1977〜8年に録音した、ショパン夜想曲全集から…。


【第11番:Andante sosutenute 】

過ぎ去りし日々を、万感の想いを込めて回想するような主部…。

ゆっくりとしたテンポと絶妙のテンポルバートで奏されるこの演奏は、

一つ一つの想いを噛みしめながら語りつつ、聴き手の懐かしさを呼び覚まし共有させるような、大変に説得力の強いもの!

中間部で聴き取れる、美しくも虚しくさまようような旋律…。

この頃のショパンって、本当に幸せだったのでしょうか?


【第12番:Andantino】

サロン的な華やかさを感じさせつつ、後年の「舟歌」を思わせるようなゆらぎを漂わせた第1主題。

敬虔な清らかさを湛えつつも、人生を諦観したような境地を思わせる第2主題は、体調を崩したショパンの心境を表わしているのでしょうか。

訥々と語るがごときアラウの演奏を聴く度に、目頭が熱くなってきます。


アラウの弾くノクターンは、曲の本質を見据えた芸術だと思っています!

ショパンのお好きな方は、是非とも一聴されることをお薦めします!

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