最近聴いたCD

ヴァンサン・ダンディ:交響詩「地中海の二部作」

ジョルジュ・プレートル指揮  モンテ・カルロ・フィルハーモニー管 


彼の音楽の最大の理解者で、31年間連れ添った妻を亡くしてからは、すっかり創作意欲を失ったダンディでしたが、

それから12年後、65歳でカロリーニ・ジャンソンという若い教え子と結婚。

「フランスの山人の歌による交響曲」「山の詩」「山の夏の日」ともゆかりの深い、先妻と共に過ごした中央高地のセヴェンヌの家を引き払って、

コート・ダジュールの海の見える丘の上に新居を構えました。

この再婚は、冬眠状態だった創作意欲に再び火をつけ、

この地で「海辺の詩」「地中海の二部作」などの交響詩が作曲されました。

気になる女性が傍にいないとパフォーマンスが発揮できない男、私も何人か知っていますが…!


今日エントリーする「地中海の二部作」は、ダンディ75歳の1926年に作曲されたもの。

スコアの冒頭には、作曲者自身によって「穏やかな日、自宅から見える海岸の朝と夕の輝かしい印象を、ただ書き写した…」と記されているそうですが、

単なる描写音楽には終わらず、自然への敬虔な感謝の気持ちが伝わってくる作品!

ジョルジュ・プレートルの洗練されていて、且つ敬虔な穏やかさが印象的な演奏で…。


【第1曲:朝の太陽】

夜明け、東の空が赤く染まり始めると、自然界の生き物たちも目覚め…。

繊細な光の変化とともに、目覚め始めた自然界の営みまでもが活写された鮮やかな描写音楽!

陽が昇り、次第に明るさが増すにつれて、広大な海原が眼前に広がっていく、そんな痺れるような感動に包まれていきます!


【第2曲:夕べの太陽】

大海原というキャンバスいっぱいに光り輝く壮大な残照が、訪れる闇の世界へと次第に包まれていき…。

静寂の中、生きとし生けるもの全てが眠りに就く…。

穏やかな自然への感謝の念が感じられる、しみじみとした感動的な音楽!


年齢のせいか、最近はこんな渋い音楽に感動を覚えるようになりました。

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