それから12年後、65歳でカロリーニ・ジャンソンという若い教え子と結婚。
「フランスの山人の歌による交響曲」「山の詩」「山の夏の日」ともゆかりの深い、先妻と共に過ごした中央高地のセヴェンヌの家を引き払って、
コート・ダジュールの海の見える丘の上に新居を構えました。
この再婚は、冬眠状態だった創作意欲に再び火をつけ、
この地で「海辺の詩」「地中海の二部作」などの交響詩が作曲されました。
気になる女性が傍にいないとパフォーマンスが発揮できない男、私も何人か知っていますが…!
今日エントリーする「地中海の二部作」は、ダンディ75歳の1926年に作曲されたもの。
スコアの冒頭には、作曲者自身によって「穏やかな日、自宅から見える海岸の朝と夕の輝かしい印象を、ただ書き写した…」と記されているそうですが、
単なる描写音楽には終わらず、自然への敬虔な感謝の気持ちが伝わってくる作品!
ジョルジュ・プレートルの洗練されていて、且つ敬虔な穏やかさが印象的な演奏で…。
【第1曲:朝の太陽】
夜明け、東の空が赤く染まり始めると、自然界の生き物たちも目覚め…。
繊細な光の変化とともに、目覚め始めた自然界の営みまでもが活写された鮮やかな描写音楽!
陽が昇り、次第に明るさが増すにつれて、広大な海原が眼前に広がっていく、そんな痺れるような感動に包まれていきます!
【第2曲:夕べの太陽】
大海原というキャンバスいっぱいに光り輝く壮大な残照が、訪れる闇の世界へと次第に包まれていき…。
静寂の中、生きとし生けるもの全てが眠りに就く…。
穏やかな自然への感謝の念が感じられる、しみじみとした感動的な音楽!
年齢のせいか、最近はこんな渋い音楽に感動を覚えるようになりました。