1890年、14歳のカザルスがバルセロナの楽器店の片隅で埃のかぶった楽譜を発見し、
長年の研究を経て満を持して世に問うた、チェリストにとっての旧約聖書のような聖典!
彼の残した全曲盤は、歴史的な名盤として、今もなお愛聴され続けています…。
今日エントリーする第4番、特にプレリュードは、私にとっては6曲中最も難解に思えていたのですが、
フルニエの1960年盤を聴いて「目から鱗…」、
これがきっかけとなって、様々な演奏が楽しめるようになりました。
【第1曲:プレリュード】
深い思索に陥って呻吟するかのように開始されます。
美しい和音に光明を見出したり、リズムの変化に心を乱したり、
曲が進むにつれて瞑想は一層深まり、出口の見えない森に迷い込んだような趣を湛えたプレリュードです…!
【第2曲:アルマンド】
第1曲とは対照的に、上機嫌な曲想をもったアルマンド。
思いつくままを口ずさむような、愉悦感に溢れていますが、
その中にも、則をわきまえた格調の高さが感じられる、フルニエの演奏!
【第3曲:クーラント】
饒舌さとともに深い情感が表出された、極めて人間的で親しみやすい愛すべき音楽です。
【第4曲:サラバンド】
ゆったりとうねりながら、次第に高揚感に包まれていく厳かなサラバンドは、
チェロの旧約聖書と評される全6曲の無伴奏組曲中でも、とりわけ心に浸み入る感動的な音楽!
【第5曲:ブーレ】
活き活きとして軽快な第Tブーレと、シンプルで素朴な第Uブーレ。
ウキウキするような愉しさに溢れています。
【第6曲:ジーグ】
淡々と淀みなく流れる感情が、突如火のように燃え上がり、一気に高みへと到達する快感が…。
余韻がいつまでも心に残る、フルニエの演奏です!
尚、第4曲サラバンドに関しては、ロストロポーヴィッチの神品とも言える超名演が存在していますので、
フルニエ盤に加えて、こちらも是非お聴きになることをお薦めします。