最近聴いたCD

G.スヴィリドフ:
音楽的イラストレーション「吹雪」
(プーシキンの同名小説による映画音楽より改編)

ウラジーミル・フェドセーエフ指揮 
モスクワ放送交響楽団 


1964年、吹雪に遭って運命を翻弄された恋人たちを描いたプーシキンの短編小説「吹雪」の映画化にあたり、作曲されたもの。

その後作曲者自身が管弦楽版に編曲し、組曲として構成されました!


作曲者のスヴィリドフは、ショスタコーヴィチを師と仰ぎ、主に20世紀後半に活躍した人物!

ロシアの民族主題に基づく作品を得意とし、国民的作曲家として、ロシア国内では人気の高い作曲家とか。

日本で彼の名前を御存じの方は、多分少なかろうと思いますが、

しかし、一聴して視覚的なイメージが膨らみ、メロディを口ずさめるような、大変に親しみ易い曲なのです!

特に第4曲は、情緒纏綿としたロシアン・ロマンに溢れていて、余りに甘美であり、

還暦を過ぎたおっさんが共感するには、余りに気恥ずかしさを感じるのですが、

本音を言うと、私、この曲大好きです!


【第1曲:トロイカ】

広大な雪原に、遠くから響いてくる鈴の音が次第に近づき、やがて遠ざかって行く…。視覚的印象の強い音楽です!


【第2曲:ワルツ】

指揮者フェドセーエフが、しばしばアンコール曲として採り上げたというこのワルツ。

ウィンナワルツのように洗練されたものではなく、場末の酒場で踊りに興じる大衆の汗臭さと哀愁が感じられる、

そう、子供の頃にサーカスで耳にしたような、懐かしい音楽です!


【第3曲:春と秋】

フルートの爽やかで涼しげな音色と、ホルンののどかな響きが春を、

ソロヴァイオリンの寂しげな音色と、それに寄り添うようなイングリッシュホルンの響きが秋を…。


【第4曲:ロマンス】

運命的な出会いを思わせる分厚い弦のユニゾンで開始され、

ハープに導かれたソロヴァイオリンが奏でる愛の芽生えのような儚い旋律が、楽器を変えて次第に高揚していき、静かに幕を閉じる…

甘美さの極みのような音楽です!


【第5曲:パストラール】

幸福感に満ちた夕べの田園風景…、

木管楽器の音色が、とりわけ美しく響きます!


【第6曲:ミリタリー・マーチ】

華やかで勇壮なミリタリー・マーチ!

どこかで聴いたような、懐かしさを覚えるのですが…。


【第7曲:結婚式】

静謐さに包まれ、祈りをささげるような趣が…。突如、感極まったかのように、喜びの涙が溢れてきます。


【第8曲:ワルツの響き】

遠くから聞こえてくるワルツの旋律(第2曲と同じ)には、人々のざわめきが聴き取れるようで、

遠くから聞こえてくる祭ばやしの賑わいと同種の、言いしれぬ懐かしさを覚える音楽です!


【第9曲:冬の路】

遥か彼方から近づき、地平線の彼方へと遠ざかって行くトロイカ…。

ロシア的な哀愁に溢れ、壮大な壁画を見るような感動が!


「年甲斐もなく…」と笑われそうですが、

たまにはストレスフリーに、ロシアンロマンに浸ってみませんか!

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