今日エントリーするop.68は、
17歳(1827年)の時に書かれたop.68-2や、
死の年の1849年に書かれたop.68-3及び4というように、
幅広い年代の生前に未出版だった作品が集められたもので、
自作に対しては潔癖主義者で、未出版作品はすべて破棄するように望んだショパンですが、
その意に反して、それらの多くを公表したフォンタナの功績は、
ショパン好きにとって、大きな福音だったと言えるでしょう!
【op.68-1:ハ長調】
華麗で力強いリズムですが、旋律は優しく憂いを含み、愛おしくなるような美しさに溢れたもの…。
マズルカの中でも私の好きな曲の一つで、何故出版されなかったのか不思議に思えてしまいます。
【op.68-2:イ短調】
振り返るような、或いはためらうようなマズルカのリズムと、哀愁を含んだ優雅で美しい旋律!
17歳のショパンが書いた傑作だと、私には思えるのですが…。
【op.68-3:ヘ長調】
憧れに向かって、或いは希望に向かって自らを鼓舞するようなマズルカのリズム!
しかし中間部のパストラールな雰囲気には、人生への諦観が表出されているような、ショパン最晩年の作品。
【op.68-4:ヘ短調】
ショパンの絶筆とされる作品!
夢見るように儚く美しいマズルカですが…。
読み取れないほどに乱れた筆跡で、判読できないような状態で残されたスケッチは、ショパンの死後、友人によって清書されました。
そのためか、中間部を聴いていると痛々しさが感じられて…。
A.ルービンシュタインの1965〜6年にかけての全曲録音からのop.68は、円熟した巨匠の人間性が垣間見える名演だと思います。