1863年30歳の時にバラキレフに出会い、初めて正式に作曲法を学びました。
前年から構想を練り始めた交響曲は、バラキレフの指導を受けることによって、交響曲第1番として結実。
バラキレフに献呈され、1869年彼の指揮によって初演されました。
第2番と較べると演奏される機会も少ないようですが、
哀感を伴ない、郷愁を呼び覚ますような東洋的な旋律や、
鳥の囀りや清涼な大気感等の大自然の息吹が随所に表出された、心安らぐ佳曲だと思います。
ネーメ・ヤルヴィ/エーテボリ管弦楽団によるロシア音楽の演奏は、全般的にやや薄味で、物足りなさを感じる私ですが、
この曲の持つ爽やかな曲想には、大変良くマッチしているように思います…。
【第1楽章:Adagio-Allegro-Andantino】
重苦しい闇の世界に始まり、次第に抒情的な表情が増す序奏部…。
主部に入ると、一転して民族的なエネルギーが横溢する中、
自然を描写したような表現が随所に登場し、
力強く明るい幸福感に満ちた音楽が展開されていきます。
【第2楽章:Scherzo:Prestissimo.Trio:Allegro】
農民(or遊牧民)達の明るく伸び伸びとした表情で、
聴きようによっては、妖精が飛び回るメンデルスゾーンのような幻想的な光景を活写したような主部。
トリオ部は、清涼な空気感と穏やかさに包まれた広大なオープンエアと、そこに漂う東洋的な旋律が印象的…。
【第3楽章:Andante】
穏やかな哀愁を帯びた旋律がチェロによって奏でられ、やがてオーボエへと受け継がれていくさまは、
月明りに照らされた大草原に漂うエキゾチックな幻想の世界を見るよう…。
夜想曲風の美しい楽章です!
【第4楽章:Allegro molto vivo】
民族舞曲を思わせる力強いリズムで開始され、
そこに東洋風の旋律が絡まりながら、勇壮に進行していく終楽章。
音楽の構成という点では、ややまとまりがないようにも思うのですが、
随所に横溢したボロディンの瑞々しい感性に魅かれて、時々トレイに載せる演奏です。