最近聴いたCD

J.ハイドン:弦楽四重奏曲第35番 ヘ短調 op.20-5 

エマーソン弦楽四重奏団 


一昨日は雪掻きで普段使わない筋肉を使った上、

ボランティア仲間との飲み会があって、床に就くのが普段より大幅に遅くなったために、

今日は朝から、頭がボーッとした状態…。

「こんな日は、ストレスフリーな曲を!」ということで取り出したのが、ハイドン疾風怒濤期の「太陽四重奏」からの1曲、弦楽四重奏曲第35番(op.20-5)!

エマーソン四重奏団の演奏で、何気なく第1楽章から聴き始めました…。


【第1楽章:Allegro moderate】

奇妙な表現ですが…

冒頭からほっとするような悲しみというか、悲しみに心が癒されるような音楽に、

思わず居ずまいを正して、聴き入ってしまいました。

心に直接的に訴える表現とは一線を画した、聴き手を気遣って繊細に心に寄り添うような表現に、

一音たりとも聴き逃すまいと、神経が研ぎ澄まされていきました。

この曲を聴くのは(多分)初めてのことで、

前述した感慨が曲に由来するものか、

或いはエマーソンの演奏の素晴らしさによるものか、その辺りは判りませんが、

全ての音が、干天の慈雨の如くに心に沁み込むように感じました…。


【第2楽章:Menuetto】

このメヌエット楽章は、孤独な悲しみというか、癒され難い悲しみというか…。

トリオ部では、ほんのひとときの安らぎが垣間見れます。


【第3楽章:Adagio】

冒頭、清らかな水の流れを思わせる第1ヴァイオリンの清々しく美しい旋律に始まり、

旋律と和音の美しさが際立つ、抒情的な楽章です!


【第4楽章:Fuga a due soggetti】

ハイドンの弦楽四重奏曲でフーガが使われているのは、太陽セットの3曲だけとか…。

自省的な雰囲気と神への祈りを思わせるこのフーガ楽章には、若々しい中に崇高な高みを希求するような趣が感じられます。


これまで聴いたハイドンの弦楽四重奏曲中、最も深い感銘を抱いた作品であり、演奏でした。

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