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A.ドヴォルザーク:交響曲第2番 変ロ長調 op.4

V.ノイマン指揮  チェコ・フィルハーモニー管 


1865年3月に第1交響曲を完成させた24歳のドヴォルザークは、

その年の夏には、僅か1ヶ月で第2交響曲のスケッチを書き上げ、10月には全曲スコアをいったん完成させたほか、

「チェロ協奏曲イ長調」(習作)や歌曲集「糸杉」なども作曲。創作への意欲が漲った、心身共に充実した時期でした。

この頃、彼の音楽の教え子だった女優のヨゼフィーナ・チェルマーコヴァーを熱愛したものの、意は叶わず(後に、彼女の妹と結婚)、

燃えたぎる情熱が創作意欲へと昇華され、これらの作品が誕生したと言われています。


エントリーするのは、ノイマン/チェコ・フィルによる、1987年のスタジオ録音盤。

ヨゼフィーナトの幸せな生活を夢見るかのように、穏やかなボヘミアの風景とほのぼのとした温かさが全曲を包む、

地味ながらも美しく幸福感に満ちた作品であり、演奏です!


【第1楽章:Allegro con moto】

牧歌的な雰囲気で開始される冒頭部。

若々しい気力が漲らせつつも、ノスタルジーが漂う主部…。

随所で奏でられる木管楽器が、ボヘミアの自然の息吹を感じさせる、穏やかな楽章です!


【第2楽章:Poco adagio】

穏やかな哀愁を湛えた序奏に続き、鳥の声を思わせるクラリネットのチャーミングな歌は、

ドヴォルザークが夢見た、ヨゼフィーナと寛ぐボヘミアの穏やかな夜の風景なのでしょうか。

慈愛に満ちた美しい楽章ですが、

最後には彼の強い決意を表わすかのように、ティンパニが強打されます!


【第3楽章:Allegro con brio】

宗教的な雰囲気を湛えつつ重々しく開始されるますが、

すぐに雲ひとつない晴れ渡った空のように爽やかさが漲った主部へ突入。

時にボヘミア的な哀愁や舞曲を漂わせつつも、若々しい希望に満ち溢れた音楽が展開されます!


【第4楽章:Allegro con fuoco】

多彩な楽想が繰り広げられる、若々しい希望に溢れた終楽章!

冒頭、風雲急を告げるように開始されますが、すぐに未来に立ち向かうかのように力強い音楽が進行していきます。

途中からは、若者が抱く崇高な夢を思わせる旋律が登場し、

やがて行進曲風に力強く盛り上がって行ったりと、

多彩な楽想が奔流のように溢れて、破綻寸前に至るのですが、

この未成熟な若々しさの、初々しく愛らしいこと!


若きドヴォルザークの才能が、とめどなく溢れ出た作品として、お薦めしたい一曲です。

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