今年は、長年患っていた白内障の手術をしたおかげで、世の中のものが、くっきりすっきりと見えるようになりました。
これを機会に、ここ5〜6年の間気付いてはいても、気にはならなかったオーディオ・ルームのブラインドに積もった埃をきれいにふき取って、新年を迎えようと決意…。
「あんたが好きなようにしてる部屋やから、ここだけは自分で掃除して!」と常々妻から文句を言われつつも、
実行するのは来訪者がある時だけで、あとは殆ど妻任せ…。
長年さぼってきた付けは、そう簡単には払拭できません。
180×90mmのブラインド1枚を念入りに拭きあげていると、いつの間にやら2時間が経過。
あと3枚を残して、ギブ・アップです。
「お疲れさま、きれいになったね。余り無理せんようにね!」
ついホロっとした直後に、「明日から1枚づつ拭いたら、正月の三箇日できれいになるやん!」
36年間連れ添ってきた妻の、優しいねぎらいの言葉です。
「少しだけ清潔になった部屋で、年の終わりを明るく気分よく…」ということで、
C.ディヴィス指揮するロイヤルコンセルトヘボウのハイドンのザロモンセットから、3曲を聴きましたが、その中から交響曲第99番を!
【第1楽章:Adagio-Vivace assai】
厳めしく開始されるものの、寂しげなオーボエの響きに導かれて悲劇的な様相を見せる冒頭部。
それに続く主部は、雅さを感じさせつつも、軽快で胸躍る音楽ですが、
繰返される転調と、4/4拍子の4拍目に置かれるアクセントが心の乱れを感じさせて、極めて人間味にあふれています。
【第2楽章:Adagio】
大晦日という特別な日に聴いたせいかもしれませんが、
木管やホルンの響きから、様々な出来事が断片的に思い浮かんできて、
心穏やかにゆく年を回顧するような、そんな趣を有する音楽です!
【第3楽章:Menuetto.Allegretto】
ユーモラスで華やかで、少し芝居がかった見栄を張るような主部と、
少しあらたまって、真面目さを装うような、愉しい中間部。
【第4楽章:Finale.Vivace】
冗談めかして明るく楽しく、途中でテンポを落として勿体をつけたりと…。
ディヴィスとコンセルトヘボウのコンビが醸す、格調高い馥郁とした音楽を聴いていると、
ありきたりの生活を送れるありがたさを、しみじみと感じます!
今年1年、ありがとうございました。
皆さまには、どうかよいお年をお迎えください!